本格的にトレーニングをやっていると、他人のカーフがやたら気になってしまう。特にボディビルダーはアスリートの中でもカーフへのこだわりが一番強いと言ってもいいだろう。なぜなら、カーフは下半身の完成度を高める部位であるにもかかわらず、なかなか思いどおりに発達してくれないからだ。理想的な全身のシルエットを作ろうとしているボディビルダーにとって、カーフを極めることは必須なのになかなか反応してくれない。だから周りのトレーニーのカーフが気になって仕方ないのだ。カーフを鍛えてかっこいい脚を目指すためのワークアウト
文:Jason Williamson,CSCS
翻訳:ゴンズプロダクション
発達したカーフは、ボディビル以外のアスリートにとっても競技能力の向上に役立つ。カーフが発達している人は安定した下半身をつくることができるのでケガをしにくく、また、下半身の力を上半身に効率よく移行させることができるので、やはりプラスになるのである。しかし、カーフの重要性に気づいていないアスリートは多く、カーフのワークアウトに時間を割こうとしない人が多いのだ。カーフを必死で鍛えているのはボディビルダーくらいで、それ以外のアスリートはほとんど目もくれない部位なのだ。しかし、冷静に考えれば、上半身は下半身が支えていて、その下半身の中でも最も地面に近い位置にあるカーフが重要でないはずはないのだ。走ったり、歩いたり、階段を上り下りするときでも、カーフがしっかり機能しているからこそ、その動作が行えているのだ。つまり、カーフの発達は日常生活だけでなく、競技能力の向上に大いに貢献するのということを私たちは再認識したほうがいいだろう。ただ、問題なのは、カーフは私たちが思っている以上になかなか発達してくれない部位だということだ。とにかく頑固で、タフで、刺激に対して敏感ではない。それだけに、カーフを発達させるためには、できるだけたくさんの知識と経験を盛り込んでワークアウトを組み立てる必要があるのだ。
カーフの構造を知ろう
カーフは2つの筋肉によって構成されている。ひとつは表層部にある腓腹筋、もうひとつは深層部にあるヒラメ筋だ。ヒラメ筋はその名前からも想像できるとおり、平たくて長い。膝からカカトまで伸びる筋肉で、腓腹筋の深部に位置している。ヒラメ筋は持久力に優れている筋肉で、歩行、走行、立位姿勢の保持など、快適な日常生活のためにも大切な筋肉だ。実際、ヒラメ筋を構成している筋肉の70%が遅筋線維であると言われている。そのため、疲労しにくく、この筋肉を刺激するにはハイレップの運動が適している。腓腹筋のほうは、遅筋線維と速筋線維の割合がほぼ半々だ。持久力も適度にあるが、ヒラメ筋よりパワーを発揮することが可能であるため、瞬発的な動きを伴うジャンプや短距離走などの競技で能力を発揮する。
カーフを発達させるための工夫
刺激に対して決して敏感ではないカーフだが、この部位を発達させるには日頃からできることをしっかり行い、ワークアウトでも工夫が必要だ。例えば以下のような事柄を普段から意識し、可能であればトレーニングに取り入れてみよう。
①2〜4週間に限定して、カーフのワークアウトを毎日行ってみる。さらに、この期間に限ってカーフのワークアウトから開始する。総セット数は4〜6セットとし、毎日異なる種目を選択する。2〜4週間の集中的なカーフワークアウトを終えたら、しばらくは他の部位と同じように間隔を空けて行うようにする。
②毎晩寝る前に、自重だけを負荷にしたスタンディングカーフレイズをゆっくりした動作で100レップ行ってみる。できれば、つま先を乗せるブロック台を用意したい。姿勢を保つために壁や柱に手をついて行うようにしよう。
③普段の生活で、つま先立ちで歩くようにしてみよう。
④階段に出くわしたらカーフレイズを行うチャンスだ。上り階段でつま先を段に乗せたら、拇指球に力を入れて身体を押し上げるようにする。一段ごとに、瞬発的な動作のカーフレイズを行うイメージで階段を上ってみる。
⑤先のカーフ集中期間以外は、週2回の頻度でカーフを行う。また、この2回のワークアウトは異なる内容で行うようにしたい。1回目は高重量×4〜6レップで行い、2回目は軽重量×25〜50レップで行ってみる。このように異なる内容にすることで、カーフを構成する遅筋線維と速筋線維の両方に強い刺激を行きわたらせることができる。
⑥カーフの種目では、環境が許せば裸足で行うのがいい。裸足で行うと足裏の感覚が敏感になり、より強い収縮をカーフに得ることができる。これは実際に試してみればわかることだ。
⑦賛否両論あるが、カーフ種目ではセットごとにつま先の向きを内側、正面、外側というふうに変化をつけて行う方法もある。つま先の向きによって刺激が変わるのでカーフ全体を追い込むことができる。
⑧ワークアウトの効果を最大限に得るために、カーフ種目を行う前と後にはカーフ全体を心地よい範囲でストレッチしよう。