ボディビルといえば他のスポーツと比較すると選手の平均年齢が高く、“年季”が必要とされる競技である。しかし、近年は20代の選手たちの活躍も目立ち、都心部の大会を中心にジュニア世代が大きな盛り上がりを見せている。
6月12日に愛媛・新居浜で開催されたマッスルゲート四国大会。最年少選手は今治の高校に通う曽我部朔弥選手。年齢はなんと17歳。ボディビルに興味を持ったのは4年前のことだった。
「中学2年生のときにYouTubeで相澤隼人選手を見て、『すごいなあ…』と思って、そこからだんだんと『僕も(相澤選手のように)なりたい』と思うようになりました」
高校に進学した曽我部選手は「トレーニングができると思った」という理由でボート部に所属。ボディビルへの興味は冷めることはなく、シーテッドロウイングのごとく背中に効かせるフォームでボートを漕いでいたら「水の上で筋トレしてるみたいだな」と顧問の先生につっこまれたという。
「そして、1年が終わるころになると、ボディビルに専念したいという気持ちが出てきて…。ボディビルをやりたい、イコール・ジムに通いたいと思うようになって、部活を辞めてジムに入会しました」
朝7時に朝食を食べ、学校についたら1限目が終わる午前10時の休み時間にプロテインでタンパク質を補給。減量中の昼食は自分でお弁当を作って持参。内容は、白米150から200g、ささみ、アスパラといったいわゆるビルダー食だ。
「(クラスメイトから)注目されないように、タッパーを手で隠しながら食べています(苦笑)」
また、ボディビルを始めるとなると、ジム会費、サプリメント代、日焼け代なども必要になってくる。高校生にとっては大きな出費となるはずだ。
「親戚のお店でアルバイトをさせてもらって、バイト代で賄っています。今回の出場料もそこから出しました」
デビュー戦となった今大会ではエントリー1名の高校生の部で優勝。また一般の65kg以下級にもエントリーし、ここでは80歳の齋藤忠男選手との“63歳差対決”も実現。大人たちと闘い4位という成績を残した。
「次は10月の全国高校生選手権に出たいと思っています。相澤選手のようになれるかどうかわかりませんが、自分なりに頑張ってみたいです」
バイトがない土日は朝と夜の1日2回、ダブルスプリットでトレーニングを行うという曽我部選手。その太く発達した脚にボディビルへの情熱が現れている。
(取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介)
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執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。