筋肉美コンテストの新競技「ウーマンズレギンス」。これはボディコンテストの登竜門的イベント「マッスルゲート」で2021年2月より採用された新カテゴリーで、選手はビキニなどではなくスポーツブラとレギンスを着用。出場するにあたっての精神的なハードルがそれほど高くはなく、エントリー者数も増加傾向にある。
8月29日、富山・とやま自遊館で開催されたマッスルゲート東北大会では、女子カテゴリーの中で最も参加者数が多かったのがこのウーマンズレギンスだった。その163㎝以下級でオール1票を獲得して優勝したのが、これがコンテストデビューとなる矢内夏恵選手だ。
「トレーニングを始めたのは1年ほど前です。SNSで見たダンシーあずささん、安井友梨さん、田上舞子さんといったビキニ選手の身体に憧れて、私もトレーニングをしてかっこいい身体になりたいと思いました」
矢内選手は小学校、中学校で特設陸上、中学校の部活ではバスケットボール部に所属していたスポーツウーマン。高校でも陸上は続け、ハードル競技に取り組んでいたという。卒業後は特にスポーツは行わず、実施していたのは軽いライニングや自宅でできる腕立て伏せ、腹筋運動くらい。ビキニ選手に憧れてはいたものの、ジムに入会した当初は「大会に出る」という発想はなかった。
「ジムのスタッフの方に教えてもらったり、自分でYouTubeを見たりしながら手探りでトレーニングを進めています。今もまだ、手探りの状態です。トレーニングを始めたばかりのころはすごく細かったので、バルクアップを目指してひたすら食べていました」
大会出場を志したのは今年に入ってから。当初は10月に開催される別団体のビキニ競技でデビューする予定で、6月下旬より減量からスタートさせた。
「それが、(7月3日の)マッスルゲート東北大会に友達の応援に行ったんですが、実際に大会を見て『私も出たい』と思ったんです。日程を調べたら、ちょうど減量中期にあたる時期に北陸大会があったので、出場を決めました」
しかしながら、志したのはビキニ競技のはず。なぜビキニではなくウーマンズレギンスへのエントリーになったのか。
「ビキニは団体によって規定ポーズが違うんです。そのポーズに合ったビキニとヒールも変わってきます。だからまずは、(ウーマンズレギンスで)場数を踏んで、ステージに立ってポージングをすることに慣れておく必要があると思い、挑戦したいと思いました。また、減量が停滞期に入っていたので、こういう大会に出てモチベーションを上げたいというのもありました」
初めて出た大会で文句なしの優勝。10月の本デビューに向けて気持ちにも弾みがついた。
「今日はすごく緊張しました。ただ、ずっと手探りの状態で不安もあったので、(優勝できて)ちょっと自信にもなりました。いい趣味を見つけたと思います。このために毎日頑張れます」
取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介
執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。