11月27日、28日の2日間に渡って開催された国内最大級の筋肉コンテスト「ゴールドジムジャパンカップ」。このイベントを機に、“健康に気を使うママトレーナー”から“競技アスリート”へマインドセットされた選手がいる。ビキニフィットネス35歳未満163cm超級で優勝した山之内瑛美選手だ。
「去年の大会には苦い思い出しかありません。自分の出来なさを痛感しつつも、その現実を受け入れられないという感覚でした」
【写真あり】山之内瑛美選手のバックポーズ含む美ボディ写真3枚
かつて線維筋痛症という難病を患った山之内選手。病気との闘いの中で健康的な身体の大切さに開眼。食事と生活習慣を見直しながらダイエットを学び、自身も「しっかり食べるダイエット」をテーマにダイエットコーチとして起業。昨年2020年にはコンテストデビューを果たした。しかしながら、2020年のジャパンカップ・ビキニ35歳未満163㎝超級では8人中8位という不本意な結果に。厳しい現実を突きつけられ、一度は競技の続行を諦めかけた。
「もう大会には出ないと決めて、エントリーしていた大会も出場を辞退しました。その後、同じジムに所属している仲間が私が辞退した大会に出場して、応援で会場に行ったんです。そしたら『もう1度、出たい!』という気持ちになって、そこから神奈川オープン大会、東日本ビキニフィットネス選手権大会に出場することになりました」
気持ちに着火した山之内選手は2021年7月の神奈川オープン大会で5位、8月の東日本ビキニフィットネス選手権大会では4位になり、全国大会であるオールジャパン選手権大会への出場権を獲得。各階級の日本一を決めるコンテストで決勝まで勝ち進み、6位というすばらしい成績をおさめた。
「そのオールジャパンで入賞できた後、自分に自信が持てるようになりました。私は長身で骨格がしっかりしている自分の体型にコンプレックスを抱いていたのですが、それがこの競技では生かせることに気づきました。それまでは自主トレだけだったのですが、さらに本気になってトレーニングと向き合ったらどこまで変われるか。そう思い、今はパーソナルトレーニングを受けています。来年のオールジャパンに向けてまたイチから身体作りに取り組んでいます」
自信がないまま出場して苦い経験をした昨年。1年後の同じ舞台には、昂然としたステージングを披露する山之内選手の姿があった。
「苦い思い出だったジャパンカップが、これまでトレーニングしてきたことを披露できる場、自分の成長を確認できる場になりました。夢中になれるものと出会えて、今すごく楽しいです」
取材・文:藤本かずまさ 撮影:中島康介
執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。