IRONMAN編集部
「ヴィンテージ大研究」とは?
ゴールドジムをこよなく愛し、ゴールドジムのヴィンテージウェアの収集に余念のない、ハードなゴールドジムマニアのゴールドジム公認パーソナルトレーナー宮野成夫さんがウェアの変遷を紹介していく。
1965年にアメリカでゴールドジムが誕生して、すでに半世紀以上が経ちました。その50余年の間、ボディビルのメッカとして、また最新のトレーニングに関する情報の発信基地としての役割を果たしてきたゴールドジムですが、その長い歴史の中で忘れてはいけないのが、「ゴールドジムウェアの変遷」。
なぁんだ、ゴールドジムのウエアなんて、どれも同じじゃないの?なんて思う方も多いとは思いますが、いやいや、この50余年の間には、さまざまなデザインのウエアが販売されてきました。
若いトレーニーには、「えっ?こんなのあったんだ!」
ベテラントレーニーには、「あっ!これ懐かしい!」
そんな風に思ってもらえるゴールドジムウエアやグッズをご紹介していくことにしましょう。
第1回目の今回は……時代的に最も古いものの1つであろうゴールドジムTシャツ。ベージュでもない、オフホワイトでもない、肌色にうっすらピンクがかったような、何とも言えない不思議な色のボディに、真っ黒のGOLD,S GYMのロゴが堂々とプリントされています。しかし、よく見ると、GOLD,Sのロゴの描くアーチが、どことなく傾いています。現在のもののように、左右対象ではありません。今の基準では、プリントミスや不良品として店頭には並べられないレベルかもしれません。でも、その少し歪んだGOLD,SGYMのロゴが逆に新鮮で、左右非対称であるが故の個性が、このTシャツの存在感を高めているような気がします。
このTシャツが流通したのは、おそらく70年代後半から80年代の前半……現在のように、パソコンで何でもデザインできる時代と異なり、当時のデザイナーさんがフリーハンドで版下をつくったのでしょう。ちゃんとバランスよくロゴを載せたつもりが、実はちょっと傾いちゃってたという、その手づくり感満載のゴールドジムTシャツ何とも味わい深い表情をしていると思いませんか?
現在の、非常にバランスのよい、ロゴマークとして完成形の域に達しているゴールドジムのデザインは、もちろんカッコよく素晴らしいと思いますが、私はこの古き良き時代の、アナログ的な温かみのあるロゴマークにこそ愛着を感じてしまいます。
アーノルド・シュワルツェネッガーやルー・フェリグノなどの往年のトップボディビルダーが活躍した時代とともに、カリフォルニアのどこかでこのTシャツが時を刻んでいたかと思うと、非常に趣きがあり、価値のあるゴールドジムTシャツの1枚と言えるのです。
宮野 成夫 みやの・なりお
1965年8月5日生まれ。兵庫県出身。プロテインの老舗メーカー、健康体力研究所勤務を経て、現在はゴールドジム公認パーソナルトレーナー、スタジオトレーナーとして活躍中。また35年以上のキャリアを持つ、マッスルマニアプロボディビルダー。ゴールドジムをこよなく愛し、ゴールドジムのヴィンテージウエアの収集に余念のない、自他共に認めるハードなゴールドジムマニアでもある。