ファッション

ゴールドジムヴィンテージ大研究vol.06「ピンクのTシャツ」

「ヴィンテージ大研究」とは?
ゴールドジムをこよなく愛し、ゴールドジムのヴィンテージウェアの収集に余念のない、ハードなゴールドジムマニアのゴールドジム公認パーソナルトレーナー宮野成夫さんがウェアの変遷を紹介していく。

近年は筋トレブームと呼ばれ、男性ばかりでなく、女性もジムで体を鍛えることが、ごく当たり前の時代になってきました。 私がボディビルを始めたころも実は何度目かのトレーニングブームでした。〝ボディビル界の百恵ちゃん〞として一世を風靡した西脇美智子さんが全盛のころで、まだもちろん日本にゴールドジムは存在していなかった昭和50年代の終わりには、個人経営のボディビルジムしか専門に身体を鍛える施設はなかったにもかかわらず、どこのジムにも女性会員の入会が絶えなかったのです。

今はお洒落でカッコいいジムウェアがたくさん発売されていますが、西脇美智子さん全盛のころはハイレグのレオタードがレディースウェアの定番のとき……。

今思えば、よくもあんな露出度の高い、体の線が出まくりのウェアでトレーニングしていたものだ、と思います。

もちろん、当時のボディビルジムに通っていた女性の全てがそんな格好で鍛えていたわけではなく、普通にTシャツにスウェット姿の人も多かったわけです。

つまり、レディースウェアそのもののバリエーションが、当時は少なかったために、トレーニング着も限られていました。

今回ご紹介するゴールドジムヴィンテージは、そんなレディースウェアからのレアなTシャツ

淡いピンクのボディに、これまた淡いブルーでGOLD'S GYMのゴマーク。中央のオールドマンはホワイトで染め抜かれています。全て淡い色使いでデザインされたことにより、プリント自体がハッキリせず、近くでよく見ないとゴールドジムのTシャツだと確認できないかもしれないほどです。

Tシャツの作りから見て、このTシャツが流通したのはおそらく1980年代初頭。日本ではレディースのジムウェアの概念がまだ確立すらされていなかった時代に、本場アメリカのゴールドジムではすでに自社ブランドとしてのレディースウェアをラインナップしていたんですね。しかも、メンズTシャツのサイズを単に小さくするのではなく、女性が着ても抵抗感のないポップな色使いにして、明らかにわざわざレディース用を作るという手の込みよう。

やはりアメリカのフィットネス事情は、当時から日本の数十年先を進んでいたんですね。

写真では判りづらいのですが、実はこのレディースTシャツ、首まわり部分のカッティングがメンズと比べて大きくなっています。色使いだけでなく、女性が着たときに、首まわりがスッキリ見えるようデザインされているのです。

宮野 成夫 みやの・なりお
1965年8月5日生まれ。兵庫県出身。プロテインの老舗メーカー、健康体力研究所勤務を経て、現在はゴールドジム公認パーソナルトレーナー、スタジオトレーナーとして活躍中。また35年以上のキャリアを持つ、マッスルマニアプロボディビルダー。ゴールドジムをこよなく愛し、ゴールドジムのヴィンテージウエアの収集に余念のない、自他共に認めるハードなゴールドジムマニアでもある。

[IRONMAN2020年1月号より]

 

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