世界で活躍するための下準備の場所
── DUTエリアの奥にはサンドバッグエリア、柔術などができるマットスペースが広がっています。
ヒル ここではキックボクシング、 ボクシング、ブラジリアン柔術クラスなどが行われます。有酸素運動を目的としたボクササイズレッスンもありますが、正しいフォームでなければ拳などを痛めてしまいますよね。 ですから、たとえ有酸素目的、フィットネス目的であっても基本をしっかり習得すること、基礎を作ることが中心となります。
── プロファイターやプロアスリートの育成はしない?
ヒル いえ、そんなことはありません。コンディショニングとメンタルづくりが基本ですが、私たちの大きな目的のひとつが人材の発掘、育成ですから、志があればプライベートコーチ、専門コーチがより高いレベルで技術指導もしてくれます。
── 将来、先ほどあげた「UFCパフォーマンス・インスティテュート」を活用するようなトップファイターも出てくるかもしれない?
ヒル それは格闘技に限りません。 ご存知かと思いますが、UFCは数年前にIMGに買収されました。
── IMGアカデミーといえば、世界のトップアスリートを輩出する屈指のスポーツアカデミーですね。
ヒル ここUFC GYM用賀は「日本でフィットネス留学ができる場所」 という位置づけですが、UFCや他のスポーツのトップアスリートとして世界にどんどん打って出る人材を輩出すべく、下地を作ったり準備をしたりできる場所でもあるのです。
── 格闘家やスポーツ選手を目指す人にとっては、夢が大きく膨らみますね。
ヒル トレーニング初心者からトップアスリートまで、すべての方に開かれているのもUFC GYMの特長です。
「世界一家族に優しいジム」
ヒル 我々は「コンディショニングとライフスタイル」「武道・格闘技 の習得、普及」に加え、三つ目のコンセプトとして「世界一家族に優しいジム」を掲げています。3歳から100 歳までに先端技術を駆使したトレーニング環境を提供できる場所を目指しているのです。
── 3歳から 100 歳! まさに「 Train Different 」ですね。
ヒル やはり画一的な指導をしても 意味がないので、一人ひとりの強みを活かし、足りないところを伸ばしていく。特に日本の場合、子どもの運動時間が減り、体力や身体能力が落ちてきているという問題もありますし、中学から運動部に入ろうとしても子どもの頃からやってきた子に遅れをとってしまうという実状もある。 だからこそ、子どもの育成にも注力していこうと思っています。
UFC GYM用賀は「日本でフィットネス留学ができる場所」
── こちらのジムでは運動と並行し て、生きた英語が学べることも話題になっていますね。
ヒル それがまさに「 Train Different 」 に続く二つ目のビジョン「 Learn Different 」で、UFC GYM用賀ならではの大きな特長です。ジム設立に先立ちアンケート調査をしてみたのですが、「ここまで外国由来のジムなら、トレーニングと語学の勉 強を同時にできたら嬉しい」との答えが多く、しかも子どもから大人まで共通した意見でした。そこで、まずジム内の公用語を英語にすることにしました。
── 英語ができない人でも大丈夫ですか?
ヒル 日本語でのサポートもありますから問題ありません。そのほかに大人も子どもも受けられる英語クラスも設けました。ある研究によれば、運動中や運動直後には学習効果が高まるそうです。これも先ほどの「 Train Different 」と発想は全く同じで、先端科学や最新の研究データなどをもとに、より効率的・効果的に英語を習得できるメソッドを作っています。 ところで、英語で日常生活を送る場合、ふだん何語ぐらい使っていると思いますか?
── うーん、2000語くらい?
ヒル 研究によれば、一般的な読み書きまで理解するには2800語、 ただし会話だけなら1100語くらいだそうです。日本人は中学から高校までの英語の勉強で2000語くらい覚えますから、そのうちの日常で使う単語は60%くらい。つまり、せっかく英語を勉強しても、40 %くらいは我々ネイティブが週に一度、使うかどうかの単語なんです。
── 従来の英語学習には無駄が多いということですね。
ヒル そう。語学はトレーニングと一緒ですから、1回でマスターするのは無理。何回も繰り返すうちに自然と刷り込まれ、身につくものです。 我々のLearn Differentは、一番頭が柔らかく吸収しやすいタイミングで、一番必要な単語だけを覚えるようプログラムされています。我々の提供する英語レッスンは大学入試用ではなく、日常生活で過不足なく会話を楽しむことを目指すいわば基礎固めです。トレーニング同様、英語も基礎さえあればどんどん高い次元に行けますよね。
── ここはトレーニング、プラス英語の基礎づくりができる場所ということですね。
ヒル 「 Train Different 」と「 Learn Different 」を継続することで、自然と自信が身につき、人とは違う自分になれる。個性豊かな人間形成ができる。それが三つ目のビジョン 「 Be Different 」の意味です。
── 格闘技ファンとしては、UFCに関わる写真やイラスト、金網をモチーフにした照明やインテリアを見ただけでもワクワクします。
ヒル UFCファン、格闘技ファンの方も、もちろん大歓迎です。好きな選手と同じトレーニング環境で、どこでも通用する体、メンタル、そして言葉を獲得し、ぜひ自分自身をバージョンアップさせてください。
IRONMAN 2020年6月号 掲載