新型コロナウイルス感染拡大に伴い、不安が大きくなる世の中ですが、いつ自分がコロナになってもおかしくありません。自身や周囲の人の大切な命を守るためにも、今からできることはたくさんあります。
今回は、「免疫」にフォーカスしたお話を紹介します。
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本来、ポジティブなことでも“後ろめたさ”にさせてしまうコロナ
昨今の新型コロナウイルスの影響で、多くの人が非日常の生活を送っているのではないでしょうか。 局所的な問題ではなく、世界中が不安に陥っており、まさにパンデミックだと感じています。一日も早い収束を願うばかりですが、皮肉なことに、これだけ世界が同じ方向を向くこともなかなかありません。どこかが儲かればどこかが損をするものですが、今回は世界中のベクトルが合っているともいえます。
これまで感じてこなかったことを感じる場面もあります。例えば、トレーニングは、本来ポジティブなことですが、いまジムでトレーニングをすると、後ろめたさがあるスポーツ選手も多いのではないでしょうか。思うようにできずに、心的ストレスのたまっている人も少なくないかもしれません。
一方で、その手前にある「健康」という軸だけは変わりません。
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特効薬やワクチンがないコロナに勝つには、“自然免疫” が鍵になる
トレーニングはしにくい環境にあるけれど、トレーニングの前提には健康があります。当たり前だと思って過ごしてきましたが、このひとつ手前の前提を意識せざるを得ない状況になってきました。今回の新型コロナウイルスに関しては、必ずしも重症化する人は多くなく、8割くらいは軽症といわれています。にもかかわらず、絶対に予断を許さず、最大限の警戒をしなければならないのは、特効薬やワクチンがないためです。そこで今回は、免疫についてお話ししたいと思います。
免疫を維持するためには、予防、自然免疫、獲得免疫の3段階あります。マスク、手洗い、うがいといわれていますが、これらは第1段階の「予防」です。ウイルスを体内に入れないための準備であり、これは必ずすべきものですが、体内に入ってきてもやっつけられる状態にしておきたいのです。予防接種や投薬は「獲得免疫」といって、後から手に入れるものです。本来持っていないものを後から人的に仕入れる発想ですが、今回はこの獲得免疫がありません。そこで、その手前の「自然免疫」というコンセプトに着目します。
「自然免疫」は、普段から人が体内に持っているものです。お医者さんからのアドバイスでも「栄養と睡眠が大事」といわれますが、これはまさに自然免疫を上げるためのアドバイスといえます。体内にある免疫細胞、つまり白血球が、いかに準備されて役割をしっかり発揮できるかが、鍵を握ります。皆さんには、自然免疫を高めるという意識を、もう一度確認しておいてもらいたいのです。
免疫細胞の7割を作る腸に欠かせないのがグルタミンとビタミンC
自然免疫を上げるには、基本的には、バランスのいい食事と十分な睡眠が条件になります。そしてポイントになるのは、グルタミンというアミノ酸。免疫細胞の7割は腸で作られており、腸はグルタミンをエネルギーにしているからです。グルタミンが足りないと腸の細胞の元気がなくなり、ひいては免疫細胞の元気がなくなってしまいます。そこで、ぜひグルタミンの摂取をお勧めしたいと思います。
もうひとつは、ビタミンCです。インターフェロン(サイトカイン)というある種のホルモンが、免疫細胞を強くするのですが、このインターフェロンを作るときに、ビタミンCが使われます。ビタミンCが足りないとインターフェロンが作られにくいので、免疫細胞を元気にするためには、ビタミンCも不可欠なのです。
免疫細胞のなかのNK(ナチュラルキラー)細胞は、特にインターフェロンで活性化します。外から入ってきたウイルスを素早くやっつけてくれる、自然免疫に直結する細胞です。NK細胞を活性化させ、自然免疫を上げるために、グルタミンとビタミンCを活用してみてはいかがでしょうか。
グルタミンとビタミンC 摂取量の目安
摂取量に決まりはありませんが、ひとつの目安としてグルタミンは 起床時と就寝前に約5グラムずつくらいをお勧めしています。体調が芳しくない、疲れがたまっているときは、2倍に増やしてもいいと思います。ビタミンCは、少なくとも1回1000ミリグラムくらいをお勧めしています。ただし、水溶性で体内にとどまりにくいので、朝晩2回、朝昼晩で3回くらいとっても問題ないでしょう。
自然免疫を上げておくことで獲得免疫に頼らなくても頑張れるようになります。
特に今回はワクチンや特効薬がない状態なので、しっかりと予防することが大前提ですが、その次には自身の自然免疫を上げることに励んでもらえたらと思います。トレーニングがなかなかできない今こそ、自然免疫を維持して、この見えない敵に打ち勝ちましょう!
Kuwabara Hiroki
桑原塾 主宰。
スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。
NESTA JAPAN (全 米エクササイズ&トレーナー 協会)PDA。
国内外のトップアスリートに対して独自の コンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。
取材・文:飯塚さき