ATPを作るためにも糖質は必要!
そもそも、体内でATPを作るのは、その大半はミトコンドリアという生命体です。
その中に入るには、厳重なチェックが必要で、例えばタンパク質はダイレクトには中に入れません。アミノ酸に分解した後に、脂質か糖質どちらかの入口から入る必要があります。
脂質ですら、アシルcoaという物質に分解された後、カルニチンという入門証を持っていないと入れてもらえません。
ところが、ブドウ糖はほぼノーチェックで優先的に入れます。最も厳重なチェックをされる脳ですら、ブドウ糖と水はフリーパスです。
さらに小腸は、水そのものよりも、ブドウ糖とナトリウムを含んだ水をより吸収します。 水よりもスポーツドリンクを飲んだほうが効率よく吸収できるのは、そのためです。
こうしたメカニズムを聞くだけでも、糖がどれだけ大切なものか、分かっていただけるのではないでしょうか。
糖質を“とらない”のではなく“どうとるか”
今後は、糖質や脂質を無条件に毛嫌いするのではなく、その中身を吟味したり三大栄養素の全てを、どうバランスよくとるかを模索していく時代になっていくと思います。
三大栄養素の摂取バランスを取ることで、より効率よくATPを作ることができます。美容やダイエット、トレーニングなどの全てにATPが絡んでくるので、ATPが作られやすい状況にしておくことは、ありとあらゆるボディメイクに役立つのです。
糖質制限については、ある一定の期間、一つのテクニックとして使う分には構いませんが、ずっとその状態でいることは、明らかに三大栄養素のバランスを大きく崩すことになり、ひいてはATPが作られにくくなります。すると、筋肉だけではなく、体の化学反応に大きく関わる酵素に、ひいては代謝にも影響を及ぼします。酵素は、タンパク質から分解されたアミノ酸がさまざまな形で反応し合って作られます。その過程でもATPは使われるので、ATPがないと酵素が十分に作られず、代謝が悪くなってATPも作られにくくなるという悪循環に陥ってしまうのです。それくらい、三大栄養素のバランスは大切です。
糖質を毛嫌いせず、三大栄養素のバランスのよい食事によって、代謝を上げること。
その上で、体のリセットやリカバリーにおいて必要になるのは「抗糖化」です。いくら必要とはいえ、やはり摂りすぎはよくありません。
糖質は摂りすぎると「疲れ」に
慢性的な疲労の理由の一つは、過剰な糖が体内に蓄積され、それがタンパク質と反応して体が焦げ付いてしまう「糖化」なのです。一度焦げると元に戻りにくく、疲労につながると言われています。
糖を積極的に摂らなくてはならない一方で、摂りすぎを防いで抗糖化につなげていく。非常に高度な話ですが、抗糖化は運動によっても進めることができます。体を動かして大量の糖を消費することによって、摂りすぎている分をリセットするのです。
また、ロダンテノンBというマンゴスチンのポリフェノールに、強い抗糖化の作用があることが分かってきました。運動に加え、こうしたサプリメントを活用することで、抗糖化を進めることができるでしょう。
次回は、一時期ダイエットなどで大きな話題となった「グルテンフリー」についてのお話です!
取材・構成=飯塚さき
Woman'sSHAPE vol.20 掲載
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