日本武道館で、3月28日(日)に開催される「K-1 WORLD GP 2021 JAPAN~K’FESTA.4 Day.2~」でレオナ・ぺタス(TEAM TOP ZEROS)との決戦に臨む武尊(K-1GYM SAGAMI-ONO KREST)。今回は、Fight&Life Vol.83で対談したK-1GYM SAGAMI-ONO KREST代表の渡辺雅和氏とのインタビューを全文掲載。
3.28日本武道館大会で、ついにレオナ・ペタスとの防衛戦に臨む武尊。昨年は負傷もあり1試合のみに終わったが、今年は運気が絶好調で、試合に向けての調整もすこぶる順調だという。武尊が全幅の信頼を置くK-1 GYM SAGAMI-ONO KRESTの渡辺雅和代表とともに、試合に向けての展望、そしてこれまでの道のりも含めて語り合ってもらった。
取材・文_高崎計三 撮影_ AP,inc.
──お二人の対談企画って、以前にありましたか?
渡辺 KRESTがオープンした頃に一回あった気がします。
──ではけっこう久しぶりですね。まずはお二人のことからお聞きしたいんですが、武尊選手が上京したのが2009年で、渡辺さんはまだ現役選手の頃ですね。
渡辺 引退直前ぐらいですかね。
武尊 いや、バリバリやってましたよ。ガンガン現役でやってました。
渡辺 そうだっけ?(笑)
──渡辺さんの現役引退が2012年後半ですね。武尊選手は渡辺さんの最初の印象を覚えてますか?
武尊 練習とかでも引っ張ってくれるというか、リーダー的な感じでしたね。みんなを見てる感じで。あと練習量とか、練習に対する気持ちの出し方とかは、「すごいな」と思いながら見てました。
渡辺 武尊は、死ぬかと思ってました。
武尊 ハハハハ! 壊れるだろと(笑)。
──というと?
渡辺 とことんやっちゃうんですよ。やめろって言ってもやるし、死に急いでましたね。
武尊 壊れるか上に行くかどっちかって感じでしたよね(笑)。
渡辺 あ、テクニックはありましたね。当時、堤大輔さんという選手がいて、メチャクチャうまかったんですよ。みんなマスでボコボコにされてたんですけど、武尊一人だけ、トントンでやり合ってて、むしろ押してたぐらいで。
武尊 堤さんはやりづらいんですよね。
渡辺 やりづらいんで、全員やられてたんですよ、マスで。マス限定なんですけど。その人と互角にやってたんで、すごいなと。
──しかし最初から熱意がすごかったわけですね。
渡辺 すごかったですね。「これは違うな」という感じで。
武尊 気持ちだけで10年やってきましたからね。でも上京した最初は、自分の弱さを痛感しました。地元にいたときは、キックの大会でも負けたことがなかったんですよ。13~14戦ぐらいやって無敗で、「これはいけるわ」って思ってたんですけど、チームドラゴンの練習では最初からボコボコにやられて。そこで初めて負けることの悔しさを味わって、負けず嫌いが強くなりました。
渡辺 しかも武尊は小柄だったし、相手がみんな大きかったからね。
武尊 最初の頃に上松大輔さんとやった記憶があります。当時63㎏のチャンピオンで、僕は57㎏ぐらいで。3日目ぐらいにヒロくん(卜部弘嵩)と大輔さんとやって、ボコボコにされました(笑)。
──でも今のKRESTもそうですが、最初にボコボコにされたという話は多くの選手から聞きますね。
渡辺 そうですね。いいのか悪いのか分からないですけど(笑)。まあ、ふるいにかかる感じですかね。それでダメなヤツは逃げていくわけですから。
武尊 耐えたヤツだけ強くなるんですよ。やっぱり、やられて覚えることってすごくあるので。「こうされたら痛いんだ」とか「これをされると効くんだ」っていうのを体感して覚えないと、自信を持って打てないので。やられる経験でいろんなことを覚えていった気がします。
──肉体的にもキツかったんですよね?
武尊 キツかったですね。最初の2週間ぐらいでホントにやめたかったです。でも上京してきてるので地元に帰ることもできないし、我慢して練習に行ってました。
──その時点で、お二人はキャリアも年齢もけっこう違いますが、交流はあったんですか?
渡辺 ……なかったよね?
武尊 ありましたよ!(笑) ミット持ってもらったりしてたじゃないですか。
渡辺 ああ、ジムではね(笑)。それはもちろん。ジム以外だと若い子は若い子同士で遊びに行くので。
武尊 でも全体的に面倒見のいい先輩でしたよ。選手がたくさんいても、全体を見てるなあという感じで。
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