──今はスマホで手軽に動画が取れますが、効果的に活用できてる人は意外に少ないのではないかと思います。どう使うのがよいのでしょうか。
石渡 たとえば一人で打ち込みをしている時に『今日はこういう意識でやってる』っていうのを(撮影機材に)話しに行くんです。それから打ち込みを始めて、それでいい動きができたら、その意識を持ってやれば再現性が高くなると思います。やっぱり試合の時にベストの状態に持ってこないといけないので。
──なるほど、よかった時の意識を持ってまたやればいいのですね。
石渡 やっぱりもう以前みたいに数が練習できないから、質を上げていかないといけないので。
──上田さんからも動画の活かし方で何かあれば教えてください。
上田 撮影してるからいろいろ試そうと思ってできないことでも試して、それを後から見てました。
──できないことであれば、なおさらいいところ・悪いところがよく分かりそうですね。映像での確認は帰ってその日のうちに?
上田 その日に見てました。夜寝る前にあげる用のものをダビングしながら見たりとか。
石渡 上田さんの半分は優しさでできてます(笑)。
上田 8枚、9枚とかなると結構大変で、いま思うとそんなにあげる必要なかったかもしれないです(笑)。石渡 よかった時に見たくて悪かった時は見たくないんですけど、悪い時に見た方がいいんですよね。
──今になって〝上田流〟が効いてきているようですね。上田さんは朝倉未来選手を破ってRIZIN王者になった斎藤裕選手のセコンドとして練習時からサポートをしていたそうですが、この時はどのようにしていたのですか?
石渡 練習から来て「斎藤くんはこうだからこういうところに気をつけて」っていう話を聞いて、練習も撮ってくれて、それを見直して指示をしてくれたんだと思います。
上田 難しいことは分からないので技術面は全部石渡くんに分析してもらってアドバイスも伝えて、あとセコンドは試合にいい状態で挑めるようにと思っていつもやってます。
石渡 上田さんはやっちゃいけないこととか危ないところっていうのをちゃんと指摘してくれるんです。性格もあるんでしょうけど基本的にディフェンシブなんです。セコンドとして危機管理してくれるので、選手が行き過ぎちゃったり、ちょっとこれ危ないぞっていう時とかは上田さんはすぐに察知します。僕は攻め、攻めになっちゃうので。
──石渡選手も1年5ヵ月ぶりの試合となる井上直樹戦が決定しました。試合間隔が空いたのは首の負傷が原因だったと聞いています。
石渡 ヘルニアだったんですけど、だいぶよくなりました。
──上田さんも箇所は違いますが、腰と背中の負傷や痛みを抱えながらの現役生活だったそうですね。
上田 最後の方はごまかしながらずっとやり続けてました。でも2年休んだらだいぶよくなって、前はずっと背中がパンパンに張っていたんですけどそれが無くなって、ぎっくり腰にもならなくなりました。
──格闘技が盛り上がってきて、またやりたい気持ちはないですか?
上田 やりたいとはもう思えないですけど、羨ましいなとはちょっと思います。でもセコンドについて勝つと自分が勝った時と同じぐらい嬉しいので、生きがいになってます。
──いきなり強敵と当たることになった石渡選手ですが、上田さんはこの試合をどのように見ていますか?
上田 喧嘩を売られたような感じなので、石渡くんは熱い思いが吹き上がって燃えていると思います。
石渡 ほんと〝見てろよ〟っていうところですよね。
──試合が1年5ヵ月ぶりになるのはどうでしょう?
石渡 別にもう毎回久しぶりですから。それも段々慣れてきました。3ヵ月スパンでやったって試合は特別で毎回相手も違うから緊張するものだし。そこはキャリアがあるから別にジタバタしないです。
──上田さんは井上選手の試合はご覧になっていますか?
上田 石渡くんの試合が決まってからずっと見てます。(※ここで上田の分析による作戦会議を実施)
石渡 そうですね、そう思います。まぁこれ勝ったらグランプリ制覇が見えるんじゃないですか。だから今となっては一番よかったです。
──出場メンバーで井上選手が一番強いだろうと言われていましたね。
石渡 朝倉海選手か井上選手かどっちかじゃないですか。直接対決するとたぶん井上選手が勝つ気がしますけどね、相性的に見ると。
──そんな井上戦に向け、改めて意気込みをお願いします。
石渡 絶対勝ちます。たしかに井上選手は強い相手ですけど、今までもっと強い選手とやってきてますから。もう1回戦績を見てみてほしいです。だからこの騒がれ方は僕が扇久保選手に負けたことで馬鹿にされてると思っているので、その挽回のチャンスですよね。