──なるほど。さて、2月には東京に出稽古に来られていたそうですが。
K TRIBEとか五味さんのところとか、アライアンスとか。東京に練習に行ったのは初めてやったんですけど、すごい刺激がありましたね。大阪とは全然技術が違うというか、東京の選手のほうが総合力が高いというか。大阪では打撃とか寝技とか、何か一つ突出してる選手が多いんですけど、東京の選手はみんな全部が強くて、穴がないんですよ。なのでTRIBEの練習とかでは、「このままじゃアカンな」って思わせてもらいました。恥ずかしかったんで。
──恥ずかしかった?
K 僕はRIZINとか出てるわけやないですか。でもこのままやったら、まだ出てない選手との練習でやられたら恥ずかしいなと。全然技術で追いついてないんで。
──そんなに違いましたか。
K 試合やったらまた違うと思うんですけど、ポジション決めての練習とかではボロボロにやられたんで。「みんな強いな!」って思いました。もともと別の理由で、1週間ぐらいの予定やったんですよ。それで前田吉朗さんにTRIBEにお願いしてもらったら快諾してくれて。それで初日に行ったら全然自分の動きができなくてカルチャーショックを受けて、納得いかなくて気づいたら3週間ぐらいおったっていう。
──そうですか(笑)。では、大阪に戻ってきてからはいろいろ変えたりしたんですか?
K 一番変えたのは意識ですね。やり方自体はそこまで違わないんですけど、長南さんが仕切ってはったんで、緊張感があって気が抜けないんですよ。それがすごくよかったので、そういう部分ですね。また東京に行くときは絶対TRIBEに行かせてもらいたいんですけど、その時は僕が向こうの練習相手になれるように、もっと技術を磨かないと。僕って、ケンカが強いタイプだと思うんです。でもMMAの強さをしっかり身につけて、みんなの練習パートナーになれるようにしたいと思います。
──そう思えるようになっただけでも意味がありますね。
K そうですね。最近は柔術も始めて、週に1回3時間はCARPE DIEM BJJ 芦屋で、代表の岩﨑正寛さんとか黒帯の選手に寝技の細かい技術を教えてもらってるところです。
──それは試合で生きそうですか?
K いや、僕は試合では派手に倒したいと思うんで、打撃のほうが練習量も多いし、スパーでもどうしてもマウントを取ってしまったりもするし(笑)。だから今度の試合でも、打撃を出していけそうやなと思ったら、そのまま打撃でいくやろうし、パッと組んで大丈夫と思ったらマウントを取ってボコボコにしにいくやろうし。今度の相手に、何で負けてるかと考えても、負けてるところはないと思うんで。
──では柔術の技術は、自分の幅として持っておくという感じですかね。さて、RIZINに出るようになって、変わった部分はありますか?
K あります。私生活とかでもめっちゃマジメにならなアカンようになって、それがしんどくてしんどくて(笑)。今はめっちゃ仮面かぶってますよ!
──ファンの目があるから?
K そうです(笑)。どうせマジメな生活を送らなアカンのやったら、YouTubeもやろうかってことで始めたんですよ。自分で服とかも作ってて、そういうのももっとやっていこうかって感じなんですけど、何しろマジメにやらなアカンのがしんどくて(笑)。
──まさかのデメリット(笑)。よかったことはないんですか?
K 今のところ、マジでないです(笑)。強いヤツがたくさん集まるところやと思って出たかったんですけど、強いヤツとどんどん当たれるようになるまでは、マジで我慢やなと。そこまでは頑張りますよ!
──頑張ってください(笑)。でも、格闘技と出会ったこと自体はよかったんですよね?
K そうですね。格闘技をやってなかったら、悪いほうのエリートにヒューッと行ってしまってたなと思うんで。そうなってたら人生を無駄にしてたと思うんですよね。20代の大事な時期を格闘技にかけることができたのは、パンクラスとかRIZINがあったからで……あ、そう考えたらRIZINがあってよかったですね。親とかは安心してます。
──それはよかった!(笑)
K だからこそ、このGPでも勝ってその先もいい成績を残せば、その先の人生、セカンドキャリアでも何かやれるんじゃないかと思うんですよね。今までマトモに生きてきてないから、社会的信用を得るためにも格闘技で名前を残していかないとアカンなと。だから今は自分の未来のためにも、格闘技を頑張ろうと思ってます。
Kintaro
1993年3月19日、大阪府出身
身長167cm
24戦13勝9敗2分
パンクラス大阪稲垣組所属