過去の試合映像から分かること
──こういう機会だからと、ご自身のこれまでの試合映像を見返すことはあります?
RENA いずれどこかのタイミングで、過去の自分の試合映像を見ながら解説してみたいというのはありますね。ちょうど、たまたま知り合いに聞いてみたらRISEさんが11年11月に神村エリカさんとやった初代RISE QUEEN決定戦の動画をYoutubeにアップされていたので懐かしいなと思いながら見ていました。
──そういう過去の映像を見て新たに気づいたことはありますか。
RENA まるで幼少期の自分の映像を見ているような感覚で、凄く下手くそだな~とか思います(笑)。何が完成形かはわかりませんが、現状の動きを3年後とかに見ると、これでよく試合をしていたなと笑えるような感覚になるんじゃないかなと思います。RIZINのデビュー戦とかあれだけのスキルでよく試合したなと思います。
──MMAの試合映像も見ますか?
RENA GYAO!さんのサイトに私のMMAの試合映像がまとめて見やすくなっているのでそれで見返したりしています。MMAでは今までに14戦を経験してますが、まだまだ進化しているのを実感しますね。ちなみに負けた試合はあんまり見ないようにしています(笑)。少しでも見ちゃうと、なんであそこであんな動きをしたんや?と自分に苛立ったり、もっと練習しなきゃ!と焦る気持ちが出てきてしまったり。そうなると今のコロナの状況もあるし……とさらに焦っちゃいますね。だから一応原因だけ確認したら、あとは無駄に見返さないです(笑)。
──コロナがいつ収束するかわからない中、どういうことをモチベーションにして練習しているのでしょう。
RENA 私はモチベーションという言葉はあまり好きじゃないんです。気持ちが乗ろうが乗るまいが世の中の人と同じでプロとして仕事は仕事なので。でも目標が定まらない中で練習を続けるのは確かに厳しいですが、コロナが収束して世界中の人たちが動き始めた時に、格闘家として見ている人に何かを感じてもらって本当の意味での勇気や元気を与えられるような試合をしたいという気持ちはずっとあります。イベントが再開された時の最初のオファーをいただいた時にベストパフォーマンスができなさそうなのでお断りしますというような状況は避けたいので、いつお話が来ても戦えることを目標にして頑張っています。
──昨年大晦日のRIZINでリンジー・ヴァンザント選手に判定勝利して以降、試合から遠ざかっていますが、今年の初戦はいつぐらいにやりたいと思い描いていたものはありました?
RENA リンジーにリベンジできたことでほっとした部分もありましたし、気持ちを新たにここから頑張っていこうと思っていたのですが、こういう状況になったのは誰に責任があるわけでもないですし仕方ないですね。4月19日に横浜アリーナで開催予定だった『RIZIN.22』に声を掛けていただいたのでそこで今年初戦も考えていたのですが、3月時点でのコロナの影響を見たらSBのイベントも中止の発表があり、実質開催は難しいんじゃないかなと感じていたので早めに気持ちを切り替えていました。
無観客でやれば大丈夫というのは私的には違う
──無観客試合でも試合をやりたいと思ったことは?
RENA やはりお客さんがいてこそプロ格闘技だと思うのでそれを考えたことはありません。もしテレビの視聴者に向けて無観客で行われるにしても、試合をする選手はもちろん移動中や興行スタッフと接触して感染したり自分以外の人に移してしまう可能性もあるので、無観客でやれば大丈夫というのは私的には違うと思っていたので、それでも試合をしたいというような想いは全くなかったですね。
──コロナウイルスの影響でまだ先の見通しが立たない状況ではありますが、今年の年始にはどういう1年にしたいという具体的なプランはありました?
RENA RIZINでは堀口(恭司)選手や朝倉兄弟が活躍して男子選手の方に人気の波が持っていかれているので、女子格闘家の存在が掻き消されないように私は私ができることをもっともっと頑張って、話題性や注目度を上げていかなきゃいけないなというのはありました。
──そのために考えていたことは?
RENA 結局試合をしなければ注目されないので、誰と戦うのがいいのか、盛り上がるためにどういう流れでやるのがいいのかを考えていたのですが、なかなかスムーズにはいかないですね。今年こそはSBに戻って試合をやりたいとも思っていたので色々な予定が狂ってしまいました。対戦相手どうこうよりも単純にSBに出たいと思っていたのですが、もしかして来年になるんちゃうん?とかも思い始めていて、時に身を任せてSBのリングに凱旋する日を粛々と待っています。
──辛い想いを乗り越えてきた経験は数え切れないと思いますが、やはりこういう日が続くとネガティブになったりしますか。
RENA 私はもちろん未曾有の事態なので誰もが短絡的には過ごせない状況だとは思いますし、毎日毎日コロナ関連のニュースを見ているとやはり、これはいつ収束するんだろう……とネガティブにはなりますよね。私は感染拡大をさせないためにもSTAY HOMEを極力守っている中で、自分がマスクして手洗い・うがいをして気をつけてるからといって不用意に街に出かけたりしている人のニュースやSNSを見たりすると残念な気持ちになりますし、国民の安全以外のどこを見ているんだろうって落ち込んだりしますが、ここはぐっと我慢の時かなと耐えています。でも収束したその暁にはきっと反動で色んなことが爆発する気がします。
──先日のRIZINの会見では、榊原信行CEOが4月大会の中止と共に夏には格闘技オリンピック開催を言及していました。
RENA そうですね。こういう時期だからこそ格闘技業界も一丸となってできる楽しいことがあるはず。シーザー武志会長も言われていますが、榊原委員長が言われているようなビッグイベントの実現を楽しみにしたいと思います。プロ選手である以上は、そういうビッグイベントが開催されるとなれば出たいと思わない選手はいないはずですし、こういう時期なので励みにもなると思います。
──もし開催されるとしたら、どんなカードを望みますか。
RENA 私はあまり色々な選手のことを知らないのですが、誰との試合を見たいですか? 逆に聞きたいぐらいで、むしろMMAとSBのどちらのRENAを見たいですか?って(笑)。もうこうなったらぜひファンが見たいと思うカードをやりたいですね。
──当然、昨年の大晦日のRIZINで浜崎朱加選手に勝ってRIZIN女子スーパーアトム級チャンピオンに輝いたハム・ソヒ選手との一戦を望むファンはいるでしょう。
RENA 私はハムちゃんとの試合でも決まればやりたいので頑張って体重を落とします(笑)。今までに組まれなかった興味深いカードが連発されるようであれば、私にとってはそれが一番いいカードかもしれませんね。
──SBルールでの対戦でしたが、RENA選手は12年8月のGirls S‒cupトーナメント準決勝でハム選手に延長戦の末に勝利しています。あれから8年経ちましたが、最近のハム選手にはどのような印象があります?
RENA あの時とは全然違う選手になっていますよね。グローブとオープンフィンガーグローブでは、殴り合うとなると全く違うものになるのですが、最近のハムちゃんはその打撃に加えてグラウンド状態でもスキルの高い完成されたMMAファイターになったという印象は強いです。打撃主体の選手はこうやって戦うんだ!?と、私にとってはヒントになるような戦い方をしています。前に対戦したときはSBルールで打撃のみで組んだ時の感触がわからず、一度体感してみないとわからない未知な部分もありますが、山本美憂戦ではタックルされても背中を付けさせない部分だったり、浜崎戦を見るとフィジカル面が凄いと思いました。寝技もうまいので、8年前に対戦した時とはまるで別の選手だと思って挑まないと勝算は低いんじゃないかなと思います。浜崎さんとは大晦日以降に試合について深くは話していませんが、私とハムちゃんとの試合を見てみたい、噛み合う試合になるとは言ってくれていましたね。
──RENA選手の今年初戦を待ち望むファンにはどういう姿を見せたいですか。
RENA 何度も言いますが、この状況もあり皆んなフラストレーションが溜まっていると思うので、そういうものをスカッとさせるような試合がしたいですね。選手全員が一丸となって全員が集中して全試合でファンを熱狂させるぐらいの試合をぜひやりたいと思います。