年末から新年にかけて気になる“正月太り”は、メンタル、フード、トレーニングの3つの要素で解消できるんです。まずは、お正月太りになる要素を洗い出していきます。
教えてくれたのは…… 桑原 弘樹(くわばら ひろき)先生
桑原塾 主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。
「その人の身体はその人のライフスタイルの鏡である」
私の中の数少ないオリジナルな名言(笑)に、「その人の身体はその人のライフスタイルの鏡である」という言葉があります。簡単に言えば、太っている人は太っているライフスタイルをしていて、痩せている人は痩せているライフスタイルをしているということです。つまり体形を変えたければライフスタイルを変えなければいけないということです。ところがライフスタイルを変えるということはすぐにできることではありません。長い年月をかけて作られた一種の習慣ですからすごくストレスがかかることでもあります。例えば朝7時に起きていた人が朝5時に起きる。ライフスタイルの変化ですね。それは理解できていても、そこまでの変化はなかなか難しいものです。
年末年始は1番大きなライフスタイルの変化
働いている人で言えば転勤も大きな変化のひとつで、すごいストレスがかかります。なので、いかにストレスを感じずにライフスタイルを変えるかというのがちょっとしたポイントなんですね。
逆にいえば、変えているという感覚をいかに持たせないか。量、栄養、タイミング、すべて完璧な食事をしても本当に食べたいものを我慢しなければいけない。そういうストレスを感じるとライフスタイルを変える以上のマイナス面が出てきてしまう。
今回のテーマである正月太りですが、なぜ年末から年明けにかけて太るかというと、ライフスタイルが変わっているからなのです。ライフスタイルが変わっていなければ、その期間だけ急激に太るなんてことはないわけで、1年の中でゴールデンウィークやお盆休み、ちょっとした変化のある時期があると思いますが、年末年始は1番大きなライフスタイルの変化だと思います。その結果として、太るという成果を出す人が多い。良いか悪いかは別として、それは抑えておくポイントです。
「年末年始は太る」という意識の問題
夏は代謝が上がる、逆に冬のほうが代謝が上がるという説もあります。どちらが正しいかは別として、僕自身はあまり大きな問題ではないと思っています。むしろ意識の問題のほうが強くて、夏は肌の露出が多くなるし、海やプールに行けばみんなおなかを出します。1年でおなかを人に見せるシーンなんて滅多にないじゃないですか。ところが夏はそんなシーンが非日常でなく訪れる。ですから私は意識の部分が大きいのではないかと思うんです。それでいえば正月太りというのは意識として太る要素がすごくたくさんあるのです。
摂取カロリーが増えて消費カロリーが減る時期
正月太りというのは元旦から3日間というわけではなく、すでに年末から正月に向けてライフスタイルの変化の中で始まっています。
12月に入れば忘年会やクリスマスがあり、1カ月トータルの摂取カロリーを月毎に比較したら、おそらく12月は多いはずでしょう。1カ月もそんなことを続けていたら、それは徐々にライフスタイルになっていきます。つまり正月太りの手前で太るライフスタイルが出来上がってしまっているのです。普段トレーニングをする人にとってもジムは休みになるし、気持ちとしても年末年始ぐらいは身体を休めようと思うはずです。
摂取カロリーが増えるライフスタイルと消費カロリーが減るライフスタイルが被る12月初旬から1月末、そのピークが年末年始にくるわけです。これが正月太りの理由のひとつではないかと考えています。
太ることに対して“なんとなく”太ったではなく、“そういう時期にいるから”太ったと認識することが大切です。また、太ることを良しとするのか、そうではないのかということもポイントです。この時期2㎏増えるのは仕方ないのか、むしろ体重を落とすんだという意識にするのか。
いつも言うことですが、極端にあれもこれも我慢するのはどうかと思っています。何か競技をされている方は別ですが、一般の女性が美を意識する範囲であれば無理のある我慢は長続きせず、逆に反動がきてしまうので注意しましょう。
文 細田大志