テレビ朝日「超人女子」に出演し、「美しすぎるボディビルダー」として話題となった”まいティ”こと田上舞子さん。2020年12月7日に発売された女性のためのトレーニング応援マガジン『Woman’sSHAPE Vol.21』で表紙を務めたことでも話題となっています。その中で掲載されたロングインタビューをFITNESSLOVEで、3回に分けてお届けします。もともと運動嫌いで運動音痴だったが、海外へいったときに受けた「運動」というものに対してカルチャーショックを機にすこしずつフィットネスに触れるように。【ロングインタビュー掲載】2回目は、運動嫌いな人でもトレーニングを続けるためのモチベーションの上げ方や、OLからトレーナーへ転身した理由を語っていただきました。そして、3回目の最後は、「フィットネスを始めて人生が変わった」という田上さんの“フィットネスライフストーリー”について。
Instagramのフォロワーは20万超え!引き締まったボディとまぶしい笑顔で女性トレーニーの憧れの存在でもある田上さん。でも「ジム通いに何度も挫折してコンプレックスの塊だった」という意外すぎる過去が…?トレーニングで人生が変わったという彼女のライフストーリーとは――。
文 藤村幸代 撮影 AP,inc.
※[ロングインタビュー掲載①・②](関連記事に添付) を読んでいない方はそちらからご覧ください。
──パーソナルトレーナーとして活躍されていますが、指導の際に心がけていることはありますか?
田上 自分の考え方やペースを押しつけないということでしょうか。これにはきっかけがあって、トレーナーの資格試験に受かったばかりのころ、スポーツジムのアルバイトを少ししていたんですね。その最初の面接のとき、「フィットネスってどんなものか分かる?」と聞かれて。当時の私は「筋トレでしょ」というくらいの答えしか思い浮かばなかったのですが、それは違って、「一人ひとりに合った適切な運動こそが、本来のフィットネスだよ」という話をしていただきました。
──そこから、フィットネスに対する考え方が変わったのですね。
田上 それまでは、身体が変わりたいという人がいたら「私ぐらい筋トレしないとダメだよ」なんて言ってしまいがちな自分がいました。でも、そのお話を聞いてからは、どれくらいの強度でやれば心地よく続けられるかは人それぞれ違うので、自分の考え方やペースを押しつけるのは駄目なんだなと思えるようになりました。トレーナーとしての最初の段階でそれを知れたことは、本当によかったと思います。
──指導をするときの指針にもなっているのでしょうね。
田上 そうですね。なりたい身体に最短で近づけるアドバイスはしますし、パーソナルの時間中はできるだけ質の高いトレーニングを提供しようと心がけています。でも、誰にでも同じようなメニューをやってもらうのではなく、それぞれの生活スタイルなども聞いて、余裕のある方であれば「プラスアルファでこれをやってみてください」とお勧めしたり、日常的に忙しい方は無理をさせないよう「パーソナル以外は無理に運動しなくても大丈夫ですよ」とお伝えしたり、それぞれ変えたりできるようになりました。
──「スポルテックカップ2019」のフィットネスビキニ部門準優勝など、コンテスト入賞も果たしています。コンテストに出場するのも、指導のスキルアップが目的ですか?
田上 もともとは「本格的な減量もしたことがないのにアドバイスはできない」と思ったことがきっかけです。大会の減量は通常のダイエットとは全然違うので、1年目の減量では妥協せず、皮一枚になるまで絞りました。体脂肪もひと桁で、血管も出ているくらい。これ以上絞れないというくらいまで絞ったら、ビキニの絞りじゃないということで、成績は全然駄目でしたが(苦笑)。でも、そこまで追い込めたのは自分の経験にもなったし、学びもすごくありました。
──「自分の限界値を知りたい」という気持ちもあったのでしょうね。
田上 それもありましたし、指導する立場としても、手を抜いて「このぐらいでいいや」じゃ駄目だと思ったんです。例えば、メンズフィジーカーが指導を受けに来たとしても適切なアドバイスができるように、自分がしっかり限界まで減量をする必要があると思いました。でも、大会に今も出ているのは、シンプルにビキニ競技の体型、あの砂時計のような体型がカッコイイと思うので、それを追求したいという気持ちも、もちろんあります。毎年出ていると必ず課題が見つかるので、ここを改善してまた挑みたいなと思ってしまいますね。
──ちなみに、今の課題は?
田上 やっぱり年々、ビキニ競技のレベルが上がっていて、皆さんと比べても私はまだまだ筋肉量が全然足りていないので、全体的な筋肉量のアップが必要ですね。
──トレーニングを始めた当時は、自分がコンテストに出場するとは考えてもいなかったのでは?
田上 本当にそう! 痩せたかったのにいつの間にか(笑)。ビキニのコンテスタントは、オフシーズンに脂肪が乗ったら女子プロレスラーみたいにたくましく見えるんです。でも感覚って面白くて、自分の理想がだんだんモデル体型からビキニのトップ選手に変わってくるんですよね。たぶん、ビキニ競技の選手より憧れの身体ができたときが、引退のときなのかなと思います。
──今のトレーニング頻度はどれくらいですか。
田上 週5回、多くて6回ですね。脚、肩、背中を2周回したら、胸と腕の日が入るという感じです。曜日に関係ない仕事をしているので、オフの曜日などはとくに決めていなくて、どうしても疲れすぎて行けないという日をオフにしています。時間帯は極力お仕事の前に。仕事や用事など全部が終わってからだと、疲れてやる気が出なかったりするので、仕事に行く前か仕事の休憩時間に入れるようにしています。
──先ほど、「フィットネスを始めて人生が変わった」とおっしゃっていました。改めて、田上さんにとって「フィットネス」とはどういう存在ですか。
田上 決して特別なものではなく、生活の一部であり、生活の軸であり…カッコイイ言葉が思い浮かばないくらい、生活に入り込んでいますね。私は大会に出ても、インスタなどでひとつか2つの投稿しかしないんです。だから、フォロワーの方でも、私が大会に出ていることを知らないという方がいると思います。大会を生活の軸に置くのもとても素敵だなと憧れますが、私にとってフィットネスはあくまでも人生を充実させるための、ひとつの手段なので、プライベートもフィットネスのある生活も、バランスよく楽しんでいきたいなと思っています。
──フィットネスを生活に取り入れることで、生活の充実度は違ってきますか。
田上 違いますね。毎日元気ですし、大好きな旅行でも疲れにくいですし、何より気持ちが前向きになりますよね。私はもともと、全然自分に自信のない普通の女の子だったんです。コンプレックスの塊だったり、つらかったらすぐにあきらめたりという生活が長かったけれど、フィットネスのおかげで徐々に変わってきて、今も少しずつ自信を身につけている最中です。今だって、筋肉量が足りないというコンプレックスはありますが、「昔よりは全然いいじゃない!」と前向きにとらえ直したりして。
──最後に、フィットネスに取り組む女性、また、これから始めてみたい女性にメッセージをお願いします。
田上 他の人と自分を比べるのではなく、自分の中でフィットネスというものを楽しんでもらえたら、とてもうれしいなと思います。SNSの影響を受けて人と比べてしまうと、「みんながこれだけやっているのに、私は週1回だけ。やる意味ないな」と、真面目な人ほど思いがちなんですよね。でも、意味がないということは絶対にないので。競技の場合は人と比べられて順位がつくものですが、私も競技以外のことでは「人より劣っているな」とか「私はこれしかやっていないのに」という風には考えないようにして、自分のペースでやることを心がけています。周りにとらわれず、“自分のフィットネス”を一緒に楽しんでいきましょう!
田上 舞子(たのうえ まいこ)
1988年1月20日、福岡県出身。理系大学を卒業後OLとして働くが、トレーニングの楽しさを知りパーソナルトレーナに転身。その後、テレビ朝日「超人女子」に出演し、美しすぎるボディビルダーとして話題となる。2019年には東京ボディビル・フィットネス選手権大会でビキニフィトネス35歳以下級で初優勝。現在は、パーソナルトレーナーだけでなく、YoutubeやInstagramでフィットネスインフルエンサーとしても活動中。愛称は「まいティ」。