コンディショニングにおいて、サプリメントを使って局地的なアプローチを続けることはもちろん大事ですが、もっとそれ以前の基礎の部分に目を向けることも大事。そこで、人間が絶えず続けている“呼吸”に焦点を当てたコンディショニングを今回から3回に分けて紹介します!
文:Woman'sSHAPE編集部
桑原 弘樹(くわばら ひろき)
桑原塾 主宰。スポーツサプリメント『パワープロダクション』の産みの親。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&トレーナー協会)PDA。武藤敬司氏率いるW-1(レッスルワン)コンディショニングコーチ。国内外のトップアスリートに対して独自のコンディショニング指導を行い、各種スポーツ誌への執筆や講演会を実施するなど多方面にわたって活動中。
“呼吸”は身近すぎて意識しにくい
呼吸は生まれた瞬間から死ぬまで続けているもので、そのことからもどれだけ人間にとって必須なものかが分かると思います。しかしあまりに身近すぎるものなので、呼吸に対して意識を高く持っている人はあまり多くないかもしれません。その一方でマラソンランナー、登山家、ダイバーの方々は呼吸に対して高い意識を持っています。彼ら(彼女ら)のように、時にはトレーニングや運動のパフォーマンスを上げるために呼吸というキーワードで色々なものを見直すことも必要かもしれません。
吸う息、吐く息、努責
呼吸の目的
呼吸力を上げるには
それではどのようにすれば呼吸力を上げることができるのかについてです。みなさんも高地トレーニングという言葉を聞いたことがあると思いますが、これは酸素が少ない場所でトレーニングをすることで、赤血球の数を増やし、平地に戻ったときによろよいパフォーマンスを発揮するというものです。高地トレーニングの科学的な研究はずいぶんと進んでいて、もちろん大きな効果があるトレーニングなのですが、一方で身体に対して負荷が大きいという側面もあります。さまざまな事情から高地トレーニングは短期間で行わざるを得ない場合が生まれますが短期間で赤血球の数そのものは増えてもひとつひとつの質が落ちてしまうのです。トップアスリートのように定期的に、またある程度の期間高地トレーニングを行う環境にいられれば話は別ですが、一般の人にとって「高地トレーニング=赤血球を増やして呼吸力を上げる」というのは現実的とは言えません。
そこで考え方を変えて、赤血球の数を増やすのではなく、「赤血球の質を高める」。これが私たちにとって現実的な方法でしょう。赤血球の質を高めるには、いくつかの栄養素がキーポイントになります。次回は赤血球の質を高める栄養素についてお話しします。