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筋肉博士、石井直方先生に聞く!ヒップアップ攻略の鍵は『大殿筋と大腰筋のどちらも鍛えること』後編

普段からお尻に効く動作が重要

森 スクワットとデットリフトの他におすすめの種目はありますか?

石井 アブダクションでしょうね。お尻の側面上部にある中殿筋を鍛えます。中殿筋をしっかり鍛えることで、ウエストからお尻のめりはりがはっきりしてきてアクセントがついてきます。お尻を総合的に使うという観点でいうと、フロントとバックのランジウォークがいいと思います。

森 ランジウォークは空間的に難しい場合がありますが、その場で踏み出す動きだけでも効きますか?

石井 いいと思いますよ。前に踏み出した脚を、続けてうしろに踏み出しても良いですね。あと、手軽なのでは、ヒップリフト。お尻をギュッと絞るようにすると、大殿筋だけでなく、股関節の周囲にある小さな筋肉も使えます。

森 家でもできるのがいいですね。ヒップは脚のトレーニングの一環として行う場合が多いので、多角的にトレーニングできてないかもしれませんね。ヒップのスペシャルデーを作ってもいいですね。あと、気になるのが、お尻の下のたるみ。経験的に取れにくいと感じていますが、取ることはできますか?

石井 ついたものは基本取れますよ。ただ落ちにくいことは確かです。たとえば、お腹の脂肪を落としたい、6パックに見えるようにしたいという希望に比べると、お尻の下の脂肪をスッキリ取るほうがよっぽど大変です。

森 その理由はなんでしょうか?

石井 身体のなかの脂肪には、落ちにくいものと、落ちやすいものがあるんですね。個人差はありますけど、お腹が落ちやすい人もいれば、太ももが落ちやすい人もいる。概して、背中からお尻にかけては、いちばんしつこいところなので、もうひと頑張り、ふた頑張りしないと、脂肪が落ちてくれないというケースが、圧倒的に多いんです

森 私もコンテストの水着の時は、たるみが残りやすく、ポーズでごまかしたことがあります(笑)。

石井 時間をかけて、丹念に、落とさないといけないでしょうね。

森 ヒップの下のたるみを気にされる方は多いですが、それ以前に筋量の不足を改善しなければヒップの丸みは出ないのに…。

石井 もちろんです。筋肉が落ちてしまうと、もっとひどいことになるから。下から筋肉をつけて、盛りあげていくというのが、いちばんいいと思います。たるみができるのは、ある程度はしょうがありません。それよりももう少し、お尻にターゲットを絞ったトレーニングをして、筋肉でボリュームをつけたほうがいいでしょうね。

森 削ぎ落とすという発想ではなく、たるみが気にならないぐらい、上のボリューム感をしっかり出すことが大切なのですね。ヒップだけでなく、ほかの部位でも言えることですね。まずはしっかりと筋肉をつけてアウトラインを作ることですね。最後に、普段の生活でできるお尻シェイプはありますか?

石井 立って家事をしているときとか、電車を待っている時間に股関節を外旋させるとお尻を使えます。ただ立っているだけではなく、つま先、膝は外に向いている状態です。お尻だけでなく、O脚にも効きます。股関節の向きが悪くて、内旋している人が多いですが、外旋させて、膝をしっかり寄せるだけで変わってきます。あとは、歩くときに少し意識をして、後ろのキックを強くするとか。胸を張って、強いキックを意識するだけでも、筋肉の使われ方はよくなります。

森 歩幅が小さくて、膝を曲げて、ダラダラ歩いているとお尻は使われにくいんですね。

石井 はい、階段を上るときも、そうです。普通の上り下りだと、そんなにお尻は使わないと思いますけど、1段飛ばしとかにすると効果があります。普段からお尻に効く様々な動作を行うことが重要です。

いしい・なおかた
1955年、東京都出身。東京大学大学院教授、理学博士。
全日本ボディビル選手権優勝(81・83年)、アジアボディビル選手権優勝(82年)ほか、ボディビル競技での輝かしい実績を誇る。
トレーニングをテーマに次々にベストセラーを世に送り出す“筋肉博士”。

もり・ひろこ
ソライナ株式会社にて、プロテインや健康食品の企画・開発を行う。
ボディフィットネスでは東京大会4連覇、2016年には8年ぶりに大会に復帰し、関東オープン・フィットネスビキニ163cm超級で優勝を飾る。

取材・文_伊藤雅奈子
撮影_t.SAKUMA 
「Woman’sSHAPE Vol.07」2013年06月掲載

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