前回は、トレーニングにまつわる誤解を紐解いたうえで、トレーニングの極意を桑原先生から教えていただきました。
では、影響力の大きい食事には、どのように気をつければよいのでしょうか。
以前、ベーシックとなる「栄養の充足度とPFCバランスの重要性」を紹介しました。栄養不足も栄養過多も見直す必要があり、1日トータルだけでなく、3食それぞれのバランスをきちんと見ることが大切です。
筋肥大と血中アミノ酸濃度の関係
加えて、血中アミノ酸濃度を高く維持することが大切です。例えば、血中のグルコース濃度を指す「血糖値」は、下がってくると、肝臓のグリコーゲンから糖が分泌され、調整することができます。ところが、アミノ酸は体に蓄えられない栄養素なので、外から入れないと維持できません。また、血糖値は下がってくるとおなかが空くのですが、アミノ酸濃度は下がってもお知らせが来ません。つまり、自らの意思で補給しないと、濃度が上がらないのです。こうした難点はありますが、いずれにしても、血中アミノ酸濃度を高くすると筋肥大が起こりやすくなります。
血中アミノ酸濃度を高くするためには
3度の食事に必ずタンパク質
血中アミノ酸濃度を高くするためにまずできるのは、3度の食事に必ずタンパク質を入れましょう。体重1㎏ に対し、1日約2gが目安なので、体重50㎏の女性であれば、1日100g 、1食が約33g の計算になります。1回の食事ごとに補給することで、食事と食事の間にタンパク質が分解され、体内のアミノ酸の橋渡しがうまくいきます。それでももし足りなければ、プロテインや必須アミノ酸といったサプリメントの出番となります。 特に気にしてもらいたいのが、午前中の血中アミノ酸濃度。よほど朝ごはんにしっかりとタンパク源を入れないと下がってしまうのですが、朝から肉や魚をもりもり食べる人は、あまり多くないでしょう。目玉焼きや牛乳といった、一般的なタンパク源しか摂らなかった場合は、朝ごはんの後にプロテインや総合アミノ酸などのサプリメントを飲んで、調節しましょう。朝だけでなく、食事と食事の間など、サプリメントを活用して常に血中アミノ酸濃度を下げないように心がけてください。
寝る前のプロテインはNG?
ただし、寝る前にプロテインを飲むと、寝ている間の血中アミノ酸濃度は確かに高くなるのですが、内臓を休めるのを阻害してしまうため、あまりお勧めしていません。摂るのであれば、寝る直前ではなく就寝の数時間前にしておいて、朝起きたらまた補給すればよいと思います。