下半身の強化に加えて片脚トレーニングには、胴部を強化する効果もある。体幹部の強化は、さまざまな動作を安定した姿勢で行うために重要であり、これもまたケガの予防につながることだ。どうして片脚トレーニングで体幹部が強化されるのか。それは、片側動作を行う際は、意識的に上体を床面に対して垂直に立てた姿勢を保たなくてはならないからだ。それが体幹部の強い緊張を生み、結果的に体幹部の強化になるのである。
文:Steve Jones. NASM-CPT
翻訳:ゴンズプロダクション
体幹部を緊張させないで片側動作を行おうとすると上半身が傾いてしまい、それが姿勢のアンバランスを生み、動作を継続することができなくなってしまう。体幹部の強い緊張は、片脚トレーニングを行う上で不可欠なのだ。
片脚トレーニングを行ってみると分かるが、確かに胴部や腰部、下背部、股関節周辺などが動作中に強く緊張する。これらの部位が強化されると姿勢が安定し、とっさの動きなどでも姿勢が崩れにくくなるので、ケガの予防だけでなく競技能力の向上にもつながるのである。
下半身のユニラテラル種目にはさまざまなものがある。おそらく、多くの人がスクワットやデッドリフトなどを含むワークアウトを行っていると思うので、それに加えられる2つの種目を今回は紹介したい。
どれを選択して行う場合も、最初は必ず自重を負荷にして行ってみよう。自重だけでは物足りないと思うかもしれないが、初めて挑戦する種目は、まずは動作に慣れることが大切だ。自重だけで安定した動作が行えるようになったら、軽い重量を負荷にして継続し、筋力の伸びに合わせて負荷を増やしていくようにしよう。
片脚デッドリフト
❶両足を腰幅程度に開いて立つ。股関節から上体を前屈させ、床に置いたウエイトを両手で握る。ウエイトを用いる場合はダンベル、ケトルベル、バーベルから選択しよう。
❷上体を前屈させてウエイトを両手で保持したら、片脚を床から浮かせて後方に引く。身体のぐらつきがないことを確認したら、立っている側の脚にしっかり重心を乗せ、浮かせている側の脚をまっすぐ後方に伸ばす。横から見て、上体と脚がちょうどTの字のような姿勢を作ったら、それがこの種目のスタートポジションだ。そこから上体が床面に対して垂直になるまで身体を起こす。
❸立っている側の脚の膝を少し曲げて、ゆっくりと上体を前屈させていきスタートポジションに戻す
※反対側も同様にして行う
ポイント
この種目ではフォームが重要になるので、まずはウエイトを持たずに自分のフォームを鏡で確認しながら行ってみよう。
片脚ブリッジ
❶床にあお向けになり、後頭部と肩をしっかり床につけ、腕は体側に置く。膝は45度の角度に曲げて、足裏は床につけておく。
❷右足を床から浮かせ、膝をまっすぐにのばす。
❸左足のカカトで床をしっかり踏み込みながら、尻全体を床から浮かせる。このとき、下背部を反らせないように注意しよう。また、肩が前方に丸まらないように意識しよう。
❹十分な高さまで尻を持ち上げたら、そのままの姿勢を1秒程度保つ。
❺ゆっくりスタートポジションに戻る。
ポイント
正しい動作をマスターするまでは自重だけで行うようにする。