ボディビルやフィジークコンテストで上位入賞を狙うなら、本気で背中を発達させていかないと目標達成は難しい。背中は、ひとつの部位というより複数の筋肉が集まって構成されていて、しかもそれぞれが複雑に折り重なっている。 背中を構成する全ての筋肉が発達すると、全体の厚みや幅が増し、さらに体脂肪を落とすとまるで入り組んだ山や谷が形作るジオラマのように見える。
筋肉自体が折り重なって背中を構成しているので、特定の筋肉だけに効かせるというわけにはいかない。つまり、選択した種目によっては、常に刺激される筋肉も出てきてしまうわけで、そのような筋肉はオーバートレーニングに陥る危険性が高まる。もちろん、逆のケースもある。種目の選択の仕方によっては、ほとんど刺激されずに取り残されてしまう部分も出てくるかもしれない。だから背中のワークアウトでは種目の選択がより重要になってくるのだ。
背中の幅をつくる代表種目 チンニングのコツ
コツ①
バーにぶら下がったとき、最初から肘を少し曲げた状態を作ると、動作中、上腕二頭筋への刺激が強くなってしまうこともある。背中のためにこの種目を行うなら、まずは広背筋を強く緊張させながら身体をボトムからトップへと引き上げていこう。 最初から肘を曲げない限りは、上腕二頭筋が主役になることは避けられる。スタートポジション(ボトムポジション)では、動作を開始する前に肩が下方に引き下ろされていることを確認しよう。また、バーを強く握ろうとせず、バーに手を引っかけるようなつもりで握ってみよう。
コツ②
チンニングを確実に背中に効かせるなら、バーはサムレスグリップで握るようにしよう。親指をバーに巻き付けたグリップは腕の引く力を強めるが、ここでの目的は出力を増すことではなく、背中の筋肉を筋肥大させることだ。サムレスグリップなら上腕二頭筋の関与を制限することができ、背中を主動筋にすることが可能になる。上腕二頭筋をできるだけ運動に参加させないようにすることが背中のトレーニングではとても重要になる。サムレスグリップで握り、背中への意識を高めよう。
コツ③
チンニングでは身体を反らせすぎないようにしたい。背中が反ってくると、刺激が中背部に分散されやすくなってしまう。もちろん、それを目的にしているならかまわないが、幅を広げることが目的なら背中を反らせすぎないようにして動作を行うようにしよう。 どうしても後ろに身体が反ってしまう人は、身体を引き上げる際に膝を軽く前に出すようにしてみるといい。 このコツはジョン・パリーロから受けたものである。身体を反らせすぎない体勢を心掛けたい。