POF法の考え方はとても単純で分かりやすい。ただ、背中のような複雑な部位にPOF法を当てはめようとすると、どうしても混乱してしまうという人が少なくないのだ。
文:by William Litz
翻訳:ゴンズプロダクション
ワークアウトでの実践
今回は、そんな人たちにも理解してもらえるように背中のPOFワークアウトを紹介していきたい。トレーニング法の考え方が明確になれば、目的も明確にしやすい。
目的が明らかになれば、対象部位に集中して刺激を送り込みやすくなり、よりPOF法の効果を引き出しやすいはずだ。
POF法にはさまざまなバリエ ーションがあるが、ここで紹介するのはあくまでも基本的なやり方だ。まず、複雑な構造を持つ背中を大きく2つに分け、広背筋と中背部の2つのワークアウトをそれぞれ行うようにする。どちらを先に行うかはトレーニーの判断でかまわないが、例えば広背筋が弱いなら、広背筋のワークアウトを先に行うのもいいだろう。
広背筋のPOFワークアウト
①ベントオーバーロウイング [ミッドレンジ種目] 8レップ×2セット
②ダンベルプルオーバー [ストレッチ種目] 10 レップ×2セット
③スティフアーム・プルダウン [コントラクト種目] 10 レップ×2セット
中背部のPOFワークアウト
①ワンハンド・ロウイング [ミッドレンジ種目] 10 レップ×1、2セット
②ケーブルロウイン [ストレッチ] 8〜 10 レップ×2セット
③ローププルオーバー [コントラクト] 8〜 10 レップ×2セット
POF法は時間もエネルギーも 無駄にしないトレーニング法である
ところで、デッドリフトが含まれていないことに違和感がある人もいるだろう。確かにそうだ。背中のワークアウトなのにデッドリフトがないだなんて、何かの間違いではないか? もちろん間違いではない。
デッドリフトは下半身のワークアウトに組み込まれることが多いが、ボトムポジションの可動域を制限すると、最初から最後まで背中に強い刺激をもたらすことができる。特に高重量を使えば背中の厚み作りに貢献してくれる種目だ。さらに僧帽筋の発達にもプラスになる。
ただし、僧帽筋の発達をメインの目的としてデッドリフトを行うなら、握力が疲労していない状態で行うのがベストだ。例えば、高重量を使うことが多い背中のワークアウトより、肩のワークアウトに組み込んだほうが効果的なデッドリフトが行えるはずだ。
デッドリフトは下半身の種目としても行えるし、肩のワークアウトに組み込むこともできる。つまり非常に柔軟な種目ということだ。そのため、無理に背中のワークアウトに組み込む必要はないので、今回のPOFワークアウトではあえて省くことにした。
もし、どうしても背中のワークアウトにデッドリフトを入れたいというのであれば、ワークアウトの最後に2〜3セットを行うといいだろう。デッドリフトを最初の種目として行うには、あまりにもエネルギーの消耗が激しすぎる。
背中のためにデッドリフトを行うのであれば、パワーラックのストッパーをスネの中央あたりにセットし、その位置をボトムポジションとして動作を行うようにするといいだろう。