筋肉をつけたい、筋力アップしたい。その理由はコンテスト挑戦から寝たきり予防まで実にさまざまです。あらゆるニーズに対応でき、超効率的、効果的なトレーニングメソッドは、果たして存在するのでしょうか。今日はパンプアップについて解説し、そのための方法をご紹介していきます。
文:IM編集部
パンプアップはなぜ起こる?
新型コロナの影響がつづくなか、全国各地で少しずつながらもボディビルコンテストが開催され、日々のトレーニング成果を披露する機会ができつつあります。
この1年の成果を余すことなくステージで出し切るためには、ステージに立つ直前の準備である「パンプアップ」が重要になってきます。どんなにトレーニングを頑張ってきても、張りのある最高のコンディションでステージに立たなければ、残念ながら良い評価を得ることはできません。そこで今回はストレートに「パンプアップ」というテーマで掘り下げていきたいと思います。
そもそもパンプアップとは、エアーポンプでバルーンを膨らませるように、筋力トレーニングによって筋肉をパンパンに大きくすることを意味します。このパンプアップの際に大きく関係してくるのが「乳酸」です。ここからは、乳酸によるパンプアップのメカニズムについて解説していくことにしましょう。
強度の高いトレーニングを行うと、解糖系代謝物である乳酸がエネルギーを供給するメインの物質になり、1分子の糖質を分解して2分子の乳酸を生成することでエネルギーを作り出していきます。
乳酸は酸性物質なので、筋細胞はおのずと酸性に傾き、筋肉中のpHが下がります。私たちの身体は、pHがどちらかに傾くと元に戻そうとします。pHを一定に保つべく水分を供給するために大量の血液を循環させ、乳酸を薄めて細胞外へと搬出することで酸性の状態を緩和します。このとき、筋肉内にたくさんの水分が送り込まれ、筋繊維が太くなることから、全体の筋肉容量が増える=パンプアップした状態となるのです。ただ、筋肉自体を大きく成長させる「ビルド・アップ」のためには、パンプアップを目指す中強度・高レップス・強収縮刺激(40秒程度のセット)、高重量・低回数を用いて筋線維の数を増やす刺激、そして筋肉の最大可動域を増やすストレッチ刺激など、さまざまなトレーニングにより総合的に筋肉を刺激していくことが重要です。
最高のコンディションでステージに立つための選択
パンプアップに大きく関わる乳酸ですが、この乳酸の蓄積においてもっともすぐれたトレーニングメソッドと言われているのが、実は「加圧トレーニング」です。加圧トレーニングとは、腕や脚の基部(付け根)の部分を専用のベルトで加圧除圧し、適切に血流制限をした状態で行う筋力トレーニングです。
加圧トレーニングでは能動的に血流制限状態を作りますが、その状態で筋収縮をうながす運動動作を加えると、エネルギー消費による化学反応の副産物として大量の乳酸が発生し、血液中へと流れていきます。血液の流れを物理的に制限した部位の血管内には、高濃度の乳酸が滞留することになり、アドレナリンや成長ホルモンが大量分泌されます。加圧トレーニングが注目を集めているのは、一般的な筋力トレーニングと比べて驚くほど低負荷運動であるにも関わらず、短時間のトレーニングでも筋力増加と筋肥大を引き起こすことができるという点です。そのため、ボディビルコンテストなどのステージ直前に行うバックステージでのトレーニングでこの加圧トレーニングを行えば、より効率的、効果的なパンプアップを獲得でき、最高のコンディションでステージに立つことができるというわけです。
ちなみに、パンプアップの持続時間は約10分から15分と言われています。これは筋肉内に流れ込んできた液体(血漿)や水分によって、疲労物質が筋肉の外に排出される時間が約10分から15分と言われているからです。
コロナ禍でむしばまれる健康
〝令和の運動革命〞を体験せよ
低負荷・短時間のトレーニングでも筋力増加と筋肥大をおおいに期待できる。そんな加圧トレーニングについて、もう少し深堀りしてみましょう。通常、低負荷の運動ではトレーニングに対する反応性が高い「速筋線維」を動員することはできません。しかし、加圧トレーニング中は筋への酸素供給が低下し、乳酸などの代謝産物の除去が阻害されることから、筋が疲労状態に陥りやすくなります。すると一定の筋力を維持すべく、通常は動員されないはずの速筋線維が順次動員されるようになります。
このメカニズムは、筋肥大を促進する大きな要因のひとつと考えられています。実際、加圧トレーニング条件下で20%1RMの膝伸展運動を行うと、高強度負荷のレジスタンス運動と同様に、運動3時間後に筋のタンパク合成が大きく亢進(増して進むこと)することが確認されています。加圧トレーニングにおいて、血中の成長ホルモンが増加することは知られていますが、実は筋繊維やその周辺の細胞からも分泌される成長因子があります。
ある実験では、静脈血流を選択的に制限したラットでは、術後2週間で後肢(後ろ足)の筋繊維の横断面積が34%も肥大したとの報告もあります。この肥大した筋からは、ミオスタチンの発現低下や、肝細胞増殖因子の増加、一酸化窒素合成酵素の増加、筋グリコーゲン量の増加などが認められています。どれも筋の成長に関わりますが、特に「ミオスタチン」は筋の成長を強く抑制する因子であり、筋の成長を大きく左右すると考えられています。このように、加圧にともなう局所因子の変化も、筋肥大に関係する可能性が高いのです。加圧トレーニングが効果的なのは、決してトレーニーやボディビルダーだけではありません。たとえば「ステイホーム」が日常化した今、高齢者の運動不足は待ったなしの緊急課題になりつつあります。ある大学の報告では、高齢者の医療・介護施設やケアマネジャーにアンケートを実施したところ、新型コロナの流行により外出制限を余儀なくされ、人との接触も減少した結果、認知症患者の状態が悪化したとの回答が多く見られたとも言われています。
こうした課題の解決策として、いま注目を集めているのが加圧トレーニングです。加圧トレーニングなら、歩く、物を持つといった何気ない日常動作でも、加圧除圧を全自動で行うことで血流の流れに変化を及ぼし、一酸化窒素を発生させ、体内の酸素を増やし、免疫力を向上させることができます。なかでも最新トレーニングマシン「Kaatsu Cycle2.0」は、スマートフォンよりコンパクトな形状ながら、ワンタッチで6段階のプログラム操作ができる利便性が高く評価されています。「いつでも、どこでも、誰にでも成長ホルモンを」というキャッチフレーズを体現する最先端デバイスは、パンプアップを目指す人から健康寿命を延ばしたい人まで、あらゆるニーズに応えてくれる画期的な“令和の運動革命”と言えそうです。
※「KAATSU」のロゴマークおよび「加圧サイクル」、「加圧ウエルネス」、「加圧トレーニング」、「加圧トレーナー」、「加圧ウォーク」は、KAATSUJAPAN株式会社の登録商標です。