ジムに行くと置いてあるケーブルアタッチメント。どれをどのような目的で使えばいいのか?
ボディビル世界チャンピオンで、ゴールドジムトレーニング研究所所長・鈴木雅選手にその重要性と使い分けのポイントを聞いた。
取材:IM編集部 撮影:北岡一浩
アタッチメントの選択肢はマシンの選択肢と一緒
使うことのできるアタッチメントがひとつ増えるということは、使うマシンの選択肢が1つ、2つと増えるのと同じことになります。特に背中のトレーニングでは数あるアタッチメントの特性を正しく覚えて、それぞれ使えるようにしておくといいでしょう。
選び方の基準として、まず挙げられるのが「対象筋」になります。特に背中のトレーニングでは、選ぶアタッチメントによって効いてくる筋肉が変わってきます。また、個人の体格や特性、例えば肩関節が硬いとか肩甲骨が硬いということも、適切なアタッチメントの選択をすることで動きを補うことが可能になってきます。
具体的にアタッチメントの選び方を解説していくまえに、広背筋と大円筋、僧帽筋の動きからどの種目がどの対象筋に有効なのかを解説します。腕を上げ、上腕が外旋すると広背筋・大円筋はストレッチします。逆に腕を下げ、上腕が内旋すると広背筋・大円筋は収縮します。
僧帽筋は肩甲骨が外転し、上腕が内旋するとストレッチし、肩甲骨が内転し、上腕が外旋すると収縮します。以上のことから広背筋の広がり・大円筋にはラットプルダウン、僧帽筋にはロウイングが適していると言えます。
ラットプルダウンとロウイングにおける対象筋の違い
まずはラットプルダウンのアタッチメントによる対象筋の違いを解説します。ベントラットバー(①)は上腕が内旋しながら収縮していくので広背筋上部・大円筋に効きやすくなります。ストレートバー(②)はベントラットバーよりも内旋しながら収縮しますので大円筋への収縮がより強くなります。パラレルバー(③)は肩甲骨を上下に動かしやすく、広背筋全体を鍛えることができます。
最後にロープーリーハンドル(Vバー④)はグリップ幅が狭いため肩甲骨が内転しづらく、肘から動く動作で大円筋・広背筋(中部・下部)に効かせやすくなります。
次にアタッチメントによるロウイングでの対象筋の違いです。ロープリーハンドルとサイクルハンドル(⑤)の大きな違いは手幅になります。ロープリーハンドルは肩甲骨が外転し、開きやすくなるため僧帽筋下部に伸展をかけやすくなります。また、ロープリーハンドルはハの字になっているタイプもあり、逆ハの字で使用することで刺激が変わります。その場合、肩甲骨の下制がしやすいため、広背筋中部・下部および僧帽筋が収縮しやすくなります。サイクルハンドルは手幅が広くなるため、僧帽筋中部・下部に効かせやすくなります。このようにアタッチメントを選ぶ際にはまず対象筋をどこにするのかを考え、選択できるようになることが大切です。
鈴木雅(すずき・まさし)
1980年12月4日生まれ。福島県出身。(株)THINKフィットネス入社。
2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2009 年ワールドゲームズボディビル80㎏級3 位。2010 年から日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2 つの世界大会でも優勝を果たした。