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プレーン・オブ・モーションの観点から種目を組み合わせる

伝説のボディビルダーたちが実施していた拮抗筋スーパーセット。独自に目的部位と、その拮抗筋の種目を組み合わせるなら、何に注意をすればいいのだろうか?

文:Jason Smithers, CSCS 翻訳:ゴンズプロダクション

拮抗筋スーパーセットの組み合わせ方

目的部位と、その拮抗筋の種目を組み合わせるなら、ぜひ運動面(プレーン・オブ・モーション)を揃えるようにしたい。

運動面とは動作の起動面のことで、矢状面、水平面、前額面の3種類がある。例えばベンチプレスはベンチ台にあお向けになり、ウエイトを天井に向けて押し上げて下ろす。これは身体を上下に二分するので水平面の動きである。同じ水平面の動作を背中の種目から選ぶならロウ系種目がいい。シーテッドロウでもベントオーバーロウでも、身体を上下に二分する水平面上で動作が行われる。

胸と背中の種目を組み合わせるなら他にも次のようなものがある。インクラインフライ+インクラインベンチでのリアレイズ、インクライン・バーベルプレス+Tバーロウ、ダンベルベンチプレス+ベントオーバー・ダンベルロウ、インクライン・ダンベルプレス+ダンベルロウ(インクラインベンチにうつ伏せになって行う)などだ。

同じ運動面の種目を組み合わせると、表の筋肉が行った動作と全く反対の動きを裏側の筋肉で行うことになる。そうすることで拮抗筋同士のスーパーセットの効果を確実に得ることができる。 もちろん、同じ面上の種目を選択したつもりでも、必ず表と裏とで軌道が一致するわけではないが、拮抗筋を利用したスーパーセットを行うのであれば、できるだけ組み合わせを工夫して実施するようにしたほうがいいだろう。

アーノルド・シュワルツェネッガーの場合

アーノルド・シュワルツェネッガーは、チンニングとベンチプレスをスーパーセットにして行っていた。運動面のルールから言えばこの2種目の軌道は一致しないのだが、それでも彼は拮抗筋を活性化することで対象筋の疲労回復を促し、効率よく筋発達を得ようとしていたのである。

アーノルドが拮抗筋のスーパーセットを好んで行っていたのは、このテクニックを用いることで表と裏の筋肉の境目に「流れ」を作ることができると信じたからだ。選択した2種目を連続して行うことで、背中と胸の境目に流れ込む血流量が増加し、それが筋肉のつなぎ目に芸術的な「流れ」を生み出す。彼はよくこの表現を使ってスーパーセットを説明していた。ただ、非常に抽象的な表現であり、これについてはさまざまな意見があるだろう。

それでも、彼が作り上げた肉体はボディビル史に残るものであり、特に上半身には迫力だけでなく芸術的な美しさも備わっていたことに異論を唱える人はいないはずだ。

アーノルドの胸の迫力は言うまでもなく、背中も恐ろしく巨大で、バリバリに絞れたコンディションが整うとまるでジオラマを見るようであった。彼はデッドリフトで317・5㎏以上を持ち上げ、ベンチプレスでは183・7㎏を挙上した。それが彼の日常のワークアウトで用いられていた重量なのである。

現在でもアーノルドは胸と背中をスーパーセットにして行っているそうだ。彼のSNSをフォローしていれば、マシンベンチプレスとラットプルダウンを交互に行っている動画を見たことがあるはずだ。

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