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ベンチプレスをやるとき、ブリッジは必要なのか

体幹を鍛えるベンチプレスは姿勢や細かい動作の差で効いてくる部分なども異なってくる。今更誰にこんなことを聞いたらいいのだろうか。というベンチプレスにまつわる素朴な疑問を井上大輔先生が解説してくれる。今回はアーチバックは必要なのかを聞いてみた。

文:井上大輔 <NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会>

アーチバックは必要ですか?

アーチバックの定義と目的によります。仮にアーチバックが腰を反らすことと定義した場合、ベンチプレス100㎏を挙げることが目的とすると、腰を反らすことでバーと体幹の距離が近くなり、高重量を挙げることに関して有利なポジションになります。これはベンチプレスで高重量を挙げるテクニックと言っていいと思います。

ただ、あなたの目的が、ベンチプレスを行うことでスポーツ競技力の向上に役立てたい場合は、腰を反らすと腰痛の原因になるばかりか、競技中の出力発揮に効果を出しにくくなります。なぜならスポーツ時には腹腔内圧を高めることが必要になるからです。そして腹腔内圧を高めるためには、アーチバック(この場合腰を反らすこと)は逆効果になってしまいます。

腹腔内圧を高めるためには脊柱をニュートラルポジションに保持することが必要であるからです。腹腔内圧を高めるためには、アーチバックよりもチェストアップの方が良いでしょう。

チェストアップは腰を反らすのではなく、頭を上方に突き上げるようにすることで自然とお腹に力が入り、胸を張ることができる姿勢です。感覚としては立位の状態で、顎を引いたまま頭を天井に突き上げるようにします。(写真1‒1)そうすることにより、自然と肩が落ちて、胸が張れるようになりお腹が凹みます。(写真1‒2)その状態を保ったままでベンチプレスを行うと腰を反らすことなく、大胸筋に自然と刺激がいくと思います。

1-1    立位の状態で頭を突き上げるようにすると自然にチェストアップの姿勢ができます

1-2    チェストアップの感覚で、ベンチプレスを行います。シングルアームベンチプレスのフィニッシュポジション

もちろん高重量を扱いたい場合は、バーと体幹の距離を縮めることで「仕事量(J)=力の大きさ(N)×距離(m)」が減るので高重量が上がることは事実です。ボディメイクを目的とした場合、バルクアップに高重量は欠かせないので、あえてアーチバックの姿勢で高重量を扱うことも必要な場合もあります。
しかしこの場合、無理に続けるとケガをする危険性が高くなるということを忘れないでください。最終的にどのフォームが正解かということに関しては、トレーニー個人個人がもつ目的のプライオリティ(優先順位)によってフォームは異なるということを付け足しておきたいと思います。

井上 大輔(いのうえ・だいすけ)
兵庫県神戸市出身。滋慶学園大阪ハイテクノロジー専門学校スポーツ科学科トレーニング理論実習講師/整体&パーソナルトレーニングジムを経営(兵庫県明石市)/ NSCACSCS/NPO 法人JFTA 理事長/17歳よりトレーニング開始。大学卒業後、スポーツクラブに就職、スポーツコンサルティング事業にかかわる。同時に操整体トレーナー学院学長松下邦義氏に師事、操整体について学ぶ。/2006年NBBF 全日本選手権 第6位。
NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会 TEL:078-707-3111

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