体幹を鍛えるベンチプレスは姿勢や細かい動作の差で効いてくる部分なども異なってくる。今更誰にこんなことを聞いたらいいのだろうか。というベンチプレスにまつわる素朴な疑問を井上大輔先生が解説してくれる。今回はベンチプレスを行うときは足をベンチの上に上げべきか?を聞いてみた。
文:井上大輔 <NPO法人 日本ファンクショナルトレーニング協会>
ベンチプレスを行うときに足をベンチの上に上げるべきか?
ほとんどのトレーナーは足をベンチ台の上にあげたベンチプレス(写真1-1)は危険であると判断すると思います。その理由は、頭よりも高い位置でバーベルを挙上するトレーニングは危険を伴うので、足をベンチ上に上げる不安定なフォームは適当でないと判断するのではないでしょうか?
ベンチプレスの際に足をベンチ上に上げるトレーニーには共通点がよく見られます。それは「股関節の伸展」の可動域が少ないので、足を地面に降ろすと代償として腰が反ってしまい、腰が痛くなるか、腹圧が入りきらず力を発揮できないから、足をベンチに上げると言う動作に行き着くことが多いと思います。(写真1-2)
写真1-3のように股関節の伸展のストレッチ(大腿四頭筋のストレッチ)を行ったとき、股関節と体幹の角度が鋭角になる場合(写真1-4)に、大腿四頭筋が硬いなどの原因で、ベンチプレスで脚を地面に降ろすと腰が反り、力が入りにくいという現象が起こるとも考えられます。
解決としては写真のようなストレッチを日頃から行い、股関節を柔軟にしておくこと、もしくは環境が許すなら、ベンチの高さが低めのベンチプレス台で行うのがいいと思います。国産のベンチの台は低く設定されており、股関節が硬い方や身長が低めで脚の長さが比較的短いトレーニーの方も、快適にエクササイズが行えるのではないかと思います。