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自立神経をコントロールして免疫力アップを狙うトレーニング

新型コロナウイルス影響で、不自由な自粛生活を強いられる日々がつづいています。でも、こんなときこそ免疫力アップと筋肥大を同時に目指し、健康をキープ&増進していきましょう!

文:IM編集部

自立神経をコントロールして免疫力アップを狙うには?

今回はこの状況下で改めて注目されている「免疫力」、そして制約の多いトレーニング環境下で、いかに効率的・効果的に筋肥大を狙うか、この2つの観点から加圧トレーニングの有用性をみていくことにしましょう。まずは免疫力。ウイルスに負けない身体づくりには免疫力アップが欠かせないと、最近よく聞きます。そもそも「免疫」とは、ウイルスや細菌、汚染物質などの有害物質から私たちの身体を守ってくれる防護システムのことです。

この免疫のシステムがきちんと働く上でカギとなる存在が、実は「自律神経」です。自律神経がバランスよく機能していれば免疫も本来の力を発揮し、私たちを病気や不調から守ってくれます。反対に、自律神経がバランスを崩せば、免疫が落ちて私たちは有害物質の脅威にさらされてしまいます。

よく「免疫が強い、弱い」という言い方をしますが、その判断基準のひとつに、「自律神経を上手にコントロールできているか否か」も含まれると言えそうです。では、自律神経のバランスを上手にとるには? これについて考えていく前に、自律神経の基礎知識についておさらいしたいと思います。

みなさんご存知のとおり、自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、日々の生活シーンによって優位となる神経が切り替わります。交感神経は主に活発に活動をする際に優位となり、血圧を上げたり、脳や筋肉の隅々に血液を送り込んだりする役割を持ちます。

一方、副交感神経のほうは、体内のエネルギーを温存し、体をリラックスさせて、酷使された体を回復させるという役割があります。また、交感神経とは対照的に血圧を下げたり、心拍数を減らしたりする役割をもちます。

加圧トレーニングで自律神経のバランスが整う?

交感神経、副交感神経は、よくクルマに例えられます。すなわち、交感神経はアクセルで、体をアクティブモードにし、副交感神経はブレーキで、リラックスモードにする役目をそれぞれ果たしているというわけです。このことから、自律神経のバランスが取れている状態とは、無意識のうちに交感神経と副交感神経を適材適所で使い分けられている状態と言えるかもしれません。

では、自律神経がコントロールできている状態にするには? その有効的な手段のひとつとして、研究成果が示されているのが、実は加圧トレーニングです。加圧トレーニングとは、腕や脚の基部(付け根)に専用ベルトで加圧し、血流制限をした状態で行う筋力トレーニングです。その最大の特徴は「超軽量負荷、短時間、短期間」で効率的、効果的に成長ホルモンを獲得することができる点にあります。

加圧トレーニングを実施した場合、自律神経はどのように変化するか。それを分かりやすく示した実験があります。一般的に、ヒトの体は横になった姿勢(安静臥床)から立ち姿勢(立位)になると、交感神経優位になります。立ち上がると重力により心臓や肺にある血液が下がり、血圧が低下するので、それをカバーすべく交感神経が活発に働くからです。逆に、安静臥床時には基本的に副交感神経優位の状態となります。

ところが、安静臥床時に両脚(下肢)の付け根に専用ベルトをつけて加圧トレーニングを実施したところ、副交感神経の主な神経である「迷走神経」の活動が減少しました。これは副交感神経と交感神経がモードチェンジした可能性を意味します。

下肢の付け根に加圧することで、あたかも「寝ながらにして立っているかのような」状態になった、つまり加圧トレーニングを行うことで、立位=交感神経へと移行できることを、この実験では示唆しています。このことから、自立神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整え、よりよい体調管理によって免疫力を向上させることに、加圧トレーニングは友好的な手段と言ええるかもしれません。

歩くだけの加圧ウォークで筋肥大が狙えるワケとは?

さて、新型コロナウイルスの影響下では、トレーニング環境も当然のように制約が大きくなります。そこで、ここからは極めて強度の低い「歩く=ウォーク」での加圧トレーニング、「加圧ウォーク」について、ご紹介したいと思います。

筋肥大には血中の成長ホルモン濃度を上昇させることが不可欠です。ただ、血中乳酸が上昇するポイントより低い強度の運動では、血中成長ホルモンの変化は起こりません。一般的な歩行程度の運動では、まったく変化しないのです。

ところが、両脚の付け根に専用の加圧ベルトをつけ、適切な血流制限下で時速3㎞ほどのゆっくりした歩行、いわゆる「加圧ウォーク」を行うと、成長ホルモンの顕著な上昇がみられました。同じように、筋肥大に関わるホルモンのひとつ、遊離型のテストステロン濃度も、加圧ウォーク後に上昇することが分かっています。

加圧ウォークのトレーニング効果を示す実験結果もあります。男子大学生24名を①1日1回加圧ウォーク=6名、②1日2回加圧ウォーク=9名、③加圧なしウォーク=9名の3グループに分け、週6日、3週間にわたり時速3㎞のトレッドミルによる2分間歩行を実施しました。セット数は1分間の休憩をはさみ5セット、歩行距離は全体で500mです。

最後のトレーニングから3日後にMRIで筋サイズを評価したところ、③の加圧なしグループでは大腿四頭筋の筋体積に変化は見られなかった一方、加圧ウォークを実施した2グループでは明らかな増加を示しました。特にグループ②(1日2回加圧ウォーク)の筋肥大率は4%と、高強度レジスタンス・トレーニングを週2~3回×約2~3ヵ月実施した場合の効果に匹敵すると考えられます。また、①(1日1回加圧ウォーク)でも2%の増加が視察されました。

日常生活のなかの行動を全てハードなトレーニングに変えてくれる加圧トレーニングは、こんな時代だからこそ、筋サイズを落としたくないトレーニーをはじめ、全ての人々に有効なトレーニングと言えるのではないでしょうか。

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