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ボディビル世界王者が解説!筋肥大に重要な刺激を逃さないために知っておくこと

ジムエリアに所狭しと並べられているトレーニングマシン。トレーニーならば初めて行ったジムで初めて見るマシンと出会った際にはわくわくするもので、それはまるで大人の遊園地のよう。しかし、マシンの特性を理解し、正確に使いこなしている人はどれほどいるだろうか。「どのように使えばいいのかよく分からない」「使ってみたけど負荷が抜ける感じがする」「軌道が体のサイズに合わない」などなど、ここではマシンに関する疑問の数々を鈴木選手が解決。

取材:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩

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マシンとフリーウエイトの違い

トレーニングマシンには、そのマシンの“意図”というものがあります。マシンを使ったのに「あまり刺激が入らなった」「負荷が抜けてしまった」などの経験をした方は少なくないと思います。どの部位を狙うのか。どのポイントで負荷がかかるのか。マシンの意図を理解して活用することで、得られる体感は違ってきます。今回の連載では、そうした使いこなし術を噛み砕いて解説していきます。

まず、マシンはなぜ作られたのかという点から見ていきましょう。マシンは「解剖学」「生理学」「力学」のバイオメカニクスをベースに作られています。解剖学は「どの部位を狙うか」、生理学は「どのポジションで力が入るか、抜けるか」。力学は「重力運動で発生した負荷をいかに効率よく伝えるか」。使用するマシンを選ぶ際には、この3つの観点から考えていく必要があります。

マシンはどのようにして作られたのか

・バイオメカニクス(解剖学+生理学+力学)に基づいて作られている。
・解剖学→どの部位を狙うか。
・生理学→どのポジションで力が入るか、抜けるか。
・力学→狙いたい筋肉への負荷。負荷を効率よく伝える。
・フリーウエイトでは補えない部分を鍛える。

マシン、フリーウエイトそれぞれの主な特徴

■マシン

長所
・バランスを取る必要がない。
・安全に追い込める。
・対象筋への意識がしやすい。
・関節に負担をかけない。
・方向を変えても負荷が一定。(ケーブル)

短所
・スタビライザーや体を安定させる筋肉への刺激は弱い。
・マシンの構造を理解していないと対象筋への刺激が弱くなる。

■フリーウエイト

長所
・重力に対して負荷が一定。
・筋動員数が多くなる。
・バランスが養われる。

短所
・安全性がマシンに比べると低い。
・フォームが悪いと対象筋への刺激が弱くなる。
・初動で勢いをつけて挙げるため収縮ポイントで力を発揮することが
難しい。←マシンだと可 !
・横方向の動きの刺激が弱い。←マシンだと可 !

マシンとフリーウエイトの実践

次にマシンとフリーウエイトの違いを考えてみます。ダンベルやバーベルなどを用いたフリーウエイトのトレーニングでは、重力の関係で負荷が鉛直方向に働きます。ベンチプレスもスクワットも、地面に対して真上の方向に、100㎏のバーベルならば初動でも終動でも一定して100㎏の負荷がかかります。

しかし、フリーウエイトでは初動である程度の勢いを使って挙げることになり、それによって終動でギュッと絞り込むように力を発揮することが難しくなります。 また、フリーウエイトは鉛直方向には一定の負荷がかかりますが、横方向への負荷は弱くなります。アームカールやレッグカールなど、巻き込むような動作をフリーウエイトで行うと終動の刺激は弱くなってしまいます。

さらに、フリーウエイトではスティッキングポイントがブレーキとなり、対象筋に対する負荷を逃がしてしまうケースもあります。スティッキングポイントとは動作中に最も筋力発揮が弱くなるポイントで、例えばベンチプレスなどではスティッキングポイントで押し切ることができずに潰れてしまうことがあります。筋線維の力発揮では初動で遅筋、終動で速筋が働くと言われており、終動で押し込めないと筋肥大に重要な刺激を逃してしまいます。

そうしたフリーウエイトでは補えない部分を鍛えるために開発されたのがマシンです。

動画で解説

デクラインチェストプレスマシンを例に鈴木雅選手に実際に注意するポイントを解説していただきました。

鈴木雅(すずき・まさし)
1980 年12月4 日生まれ 福島県出身。
2004 年にボディビルコンテストに初出場。翌2005 年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2009 年ワールドゲームズボディビル80㎏級3 位。2010 年から日本選手権で優勝を重ね、2018 年に9 連覇を達成。2016 年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2 つの世界大会でも優勝を果たした。

 

 

 

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