「夫婦そろって優勝と最高の記念日になりました」
2月23日(火)に武田裕介選手が自身のInstagramに妻の睦選手との笑顔の写真とともにあげたコメントだ。この日は2人の結婚記念日で、その3日前、20日(土)には睦選手がジャパンクラシックパワーリフティング選手権女子63kg級で優勝、21日(日)には裕介選手が同大会男子93kg級で優勝した。
パワーリフティング競技はスクワット、ベンチプレス、デッドリフトの3種目の合計重量で競う。裕介選手は今大会でスクワット270kg、ベンチプレス200kg、デッドリフト305.5kg、トータル770.5kgを達成。デッドリフトとトータルは日本新記録となった。睦選手はスクワット115kg、ベンチプレス62.5kg、デッドリフト132.5kg、トータル310kgを達成。2人の合計は1080.5kgで1t超えとなった。
パワーリフティングがきっかけで結ばれた2人が、初めて夫婦同時に日本一となったのだから喜びもひとしおだろう。おふたりの出会いと今回の優勝を裕介選手に振り返ってもらった。
「妻とは1歳違いで、違う大学でパワーリフティングをしていてお互いに知っていました。私がSNSで妻にコンタクトを取り、当時妻が通っていた大学のパワーリフティング部にコーチング兼練習に行かせていただいたのが出会いです」
現在では、2人はパワーリフティングジム「TXP」で一緒に競技を続けている。裕介選手はパワーリフティングクラシック部門で旧100kg級、105kg級に加えて、今回達成した93kg級でも日本記録を持っており、今回のジャパンクラシックで12回目の優勝を達成。「TXP」のコーチで指導者としても活躍している。
裕介選手は睦選手と出会った大学時代は現在とは別人のように細身だったが、日本人では1人しか達成していないクラシックでのトータル800kg超えを果たしたいとの思いから1年で30kgほど増量、順調に記録を伸ばし、日本人2人目のクラシック800kgを達成している。
その後、体調不良に悩まされた裕介選手。この頃から妻の睦選手と二人三脚での挑戦がはじまる。
「妻は苦手だった料理に力を入れ、健康面からいつも支えてくれました。だから体調を崩したときも頑張ることができました」
2人は結婚前の2013年に揃って日本一となっているが、今大会の〝夫婦″としての優勝は特別だと話してくれた。
「今回の優勝は夫婦で掴み取ったという気持ちが強かったです。コロナ禍であるということもあり、夫婦二人三脚という言葉が体現できた大会でした」
最後に、裕介選手は自身のパワーリフティングの目標を次のように語る。
「2021年の目標は105kg級で樹立した生涯MAXトータル830kgの93kg級での更新をすることです。近年のパワーリフティング界での競技レベル向上により、800kgに近づいてきた選手も増えてきております。栄養面、技術面も大いに関係していますが、スポーツの目標においては先駆者がいることが非常に大切です。先駆者の存在は各選手の目標に対する潜在的限界を突破しやすいと思っております。自己記録更新とパワーリフティング界の目標上限を上げること、これを目標にしています」
また、夫婦での目標について聞くと「夫婦そろっての連覇と世界選手権での上位入賞です」と力強い返事をくれた。
年月とともに記録を積み上げる武田夫婦から元気をもらえる明るいニュースだ。
(文:FITNESS LOVE編集部 写真提供:武田裕介)