これまでに何かしらのスポーツをやったことのある人なら、ストレッチがどういうものかは知っているはずだ。運動をしたことがない人でも肩や脚、腰を伸ばすストレッチ種目を見れば、その中のひとつぐらいはやった経験があると答えるだろう。トレーニング前にストレッチをやるべきなのか解説する。
文:Sarah Chadwell, NASM-CPT 翻訳:ゴンズプロダクション
ワークアウト前のストレッチ
ストレッチに関連した多くの実験や研究では「ワークアウト前のストレッチ」に対して懐疑的だ。つまり、ワークアウト前にストレッチを行うと、本番のワークアウトでマイナスの結果をもたらすということが、多くの実験や研究で示されているのだ。
また、ワークアウト前にストレッチを行おうとすると、筋肉が冷えた状態で筋肉を伸ばすことになり、それがケガの原因になるという心配もある。これについては、トレッドミルなどで全身のウォームアップを行ってから、目的部位のストレッチを行えば解決できるはずだ。
例えば胸のワークアウトの日。まずは有酸素運動で全身のウォームアップを行う。そして、胸のワークアウト日なので拮抗筋である広背筋や中背部に軽強度のプルダウンを行い、主動筋の胸筋にも軽強度のプレス種目を行う。これらを終えたあとに胸筋のストレッチを行えば、何の問題もなくなるはずだ。しかし、そこまで慎重になってストレッチをやるべきなのかと、多くのトレーニーは困惑してしまうかもしれない。
だが、率直に言おう。この面倒な準備を経て行うストレッチを欠かさないトレーニーは、間違いなくケガとは無縁なはずだ。もし、不十分な準備が原因でケガを負ってしまい、5ヵ月間ものリハビリトレーニングをやる羽目になることを考えたら、ストレッチは面倒などと言っていられないかもしれない。
もちろん、自己記録の更新に挑戦するワークアウト日なら、ワークアウト前のストレッチは避けた方がいいだろう。それでも、通常のワークアウト日であれば、ストレッチ状態をわずか10秒間保持するセットを繰り返し、5分間もあれば完了させることができる。ケガを回避しながらトレーニングが続けられることを考えれば、ワークアウト前のストレッチは決して無駄になることはないはずだ。