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新事実「筋膜リリース」は誤訳だった!?実際にリリースしなければいけないのはー

また、フロッシングは皮膚にある位置感覚を正常にしてくれます。触覚センサーのような働きをする感覚受容器は、足の裏と手のひらに多く存在します。そこで得た情報が脳に伝わって、そのフィードバックで足や手に感覚が伝わります。ベンチプレスでバーを握ったときに「なんだか感覚がおかしい」という日があると思います。これには感覚受容器が関係しています。スクワットやデッドリフトは足の裏を床につけた状態で行います。足の裏の感覚がおかしいと重心が偏るなどして「ちゃんと立つ」ということができなくなり、フォームにもエラーが出てしまいます。

トレーニングというものは反復練習の連続です。「なんだか感覚がおかしい」と感じているのに、それをそのまま放置してトレーニングを続けているのは、エラーのフォームで練習を続けているということになります。

フロッシングで感覚受容器をリセットしてあげれば、毎回同じ感覚で練習することができます。すると逆に、「今日はなんでこんなに挙げられるんだろう?」という日がなくなっていきます。その「挙げられる」状態がスタンダードになるからです。

コンプレフロスによるファシアリリースを実施する信田泰宏選手

トレーニングでは、そうした積み重ねが重要になります。スクワットをするのが週に1、2回だとすると、1年でできるスクワットの回数は簡単に割り出せます。また、1回の練習で長時間パワーラックを占有するわけにもいきません。そう考えると、練習回数と練習時間には限りがあります。

すると、1回1回の練習のクオリティーを上げていくことが非常に大きな意味を帯びてきます。感覚を毎回同じにして、エラーではないフォームで、広い可動域でトレーニングをする。それにはフロッシングが大いに役立ちます。

前回(アイアンマン誌で)取材していただいたときに告白したように、私は脳に障害を持っています。その障害自体がディスアドバンテージなのに、さらに服用している薬は筋弛緩作用があるものです。

そうしたハンディを持っている人間が勝つにはどうしたらいいか。そこで私は、みんながやっていそうで、実はあまりやっていないことを徹底的に取り組もうと考えたんです。フロッシングで身体をいたわることも、ひとつの立派なトレーニングなんです。

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▶「高重量を理論で攻める」パワーリフター信田泰宏選手

信田泰宏(しだ・やすひろ)
1988年6月17日生まれ、茨城県鹿嶋市出身。成蹊大学経済学部経営学科卒業。小学生よりラグビーを始め、日本トップレベルの環境で競技に取り組む。大学4年時には都庁公務員試験に合格。退庁後、2013 年にパワーリフティングデビュー。2014年アジアオセアニアクラシックベンチプレス選手権83㎏級優勝、2017年世界クラシックベンチプレス選手権83kg級 3位、同年ジャパンクラシックベンチプレス選手権 83kg級 優勝、2019年いきいき茨城ゆめ国体パワーリフティング公開競技105kg級優勝。


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。


 

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