鈴木雅選手がトレーニングを深く、細かく紐解いていくこのコーナー。今回の部位は「広背筋&大円筋」。背中は他の部位と比較して多くの筋肉で構成されているため、トレーニングではある程度、ターゲットとする筋肉を決めて種目を選択していく必要がある。アウトラインを強化する上では欠かせないラット系種目4種目を解説しよう。
取材・文:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩
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ラットプルダウン(大円筋狙い)
グリップはオーバーグリップ、膝の角度は鋭角に
・膝の角度は鋭角
・足幅は腰幅程度
・第二関節から指を絡めたサムレスグリップで握る
・スタートポジションでは斜め上に目線をやり、前を向きながらバーを引き寄せる
・脇の下をつぶすように引く。胸は張らない
座り方
膝の角度は鋭角に保ち、大腿四頭筋、カーフで踏ん張る。
こうすることで、上体が前に突っ込むような引き方になり、肩甲骨が(良い意味で)下がりにくくなり、大円筋に効く
動作
スタートポジションでは斜め上に目線をやり、前を向きながらバーを引き寄せる。上体を倒さず、脇の下をつぶすようにして引く。肩甲骨を動かさないイメージで行うと大円筋に効く感覚をつかみやすい
グリップ
左は第一関節で握ったNG 例。このほうが握りやすいという人もいるが、手首を固定しにくいというデメリットがある。右はOK。グリップはオーバーグリップで。第二関節から指を絡めたサムレスグリップで握る。
手幅
手幅はあまり難しく考えず、バーを引く動作がスムーズに行える幅で良い
ラットプルダウン(広背筋狙い)
グリップはサムアラウンド、膝の角度は直角に
・膝の角度は直角
・足幅は肩幅程度
・親指の力を抜いたサムアラウンドグリップで握る
・目線は正面で顎は引かない
動作
目線をまっすぐ前に向け、肘を肩甲骨に近づけるようなイメージでバーを引く。上体は自然に後方に倒す
グリップ
グリップは親指の力を抜いたサムアラウンドグリップで。第二関節から小指、薬指中心で握る。
広背筋を狙いたい場合、サムレスグリップはNG。アタッチメントに関しては、鈴木選手は肩甲骨を下方回旋させやすいパラレルワイドを使っている。
目線
顎は引かない。目線を前に向けることで、体が伸びて、肩甲骨が下方回旋しやすくなる。
チンニング
収縮ポイントで力を入れてムラのない刺激を
・グリップを強く握りすぎない
・目線は下に向けない
・収縮ポイントではバーの方向を見る
ラットプルダウンとの違い
チンニングはラットプルダウンと比べて、肩甲下筋や棘下筋などのインナーマッスルも使われる。収縮ポイントではバーの方向を向くように。
動作
骨盤を立てたまま真上に引き上げる。収縮ポイントで力を入れると、負荷が広背筋にかかった。まま動作できるのがチンニングの特長だ。
ワンハンド・ハンマーマシンプルダウン
シートの高さ調整が重要
・グリップは親指の力を抜いたサムアラウンド
・シートは腕を引いたときに肘が脇腹のあたりにくるような高さに設定する
・足の位置は均等にする。
・スタートでは胸を張って、少しぶら下がるようなイメージで
動作
スタートでは胸を張り、ぶら下がるようなイメージでハンドルを持つ。ストレッチされた広背筋中部のラインに沿って、そのまま肘を引き付ける。円運動の軌道を描くマシンであり、シートの高さが合っていれば、広背筋に効かせるのは難しくない。
基本は左右均等だが、片手で引くという種目の特性上、重心がブレやすい。右手で引いた際には、少し右に重心をかけておくと安定しやすい。
鈴木 雅
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。DMM オンラインサロン“ 鈴木雅塾”は好評を博している。
執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。