“トレーニングバカ”になるな
「社会人になってもトレーニングの話しかできないような人間だと、なかなか人脈も広がりません。周囲から見ると『話してもつまらない人』になってしまって、職場の人間関係で孤立してしまうかもしれません。
トレーニングでは『自分』と向き合うことができます。その経験は仕事に生かせると思います。
会社に理解してもらうことも重要です。それには人間性が大事ですし、また中途半端に取り組んでいるようではダメですね。一生懸命に取り組んでいる姿勢は、周りの人たちにも必ず伝わります。
彼女ができたらトレーニングできなくなる? 僕の場合は逆でした。テンションが上がって、トレーニングにも集中できました。
僕は彼女と盛り上がっている時期はコンテストの成績がよかったんです。テストステロンが分泌されるから? 絶対にそうだと思います(笑)。恋はしたほうがいいです。ただデートのためにトレーニングを疎かにするのはよくないので、そこも両立させることが重要ですね(笑)」
人脈を大切にしろ
「これは強く思います。一生懸命に取り組んでいれば、必ず手を差し伸べてくれる人が現れるんです。ただ、それは本当に一生懸命に取り組んでいる人に、です。いろいろな人脈ができると、自然とトレーニングがしやすい環境になっていきます」
努力していると思うな
「自分で自分のことを『がんばっている』と思わない、ということです。トレーニングは好きだからやっているんです。そのことを常に念頭に置いておいたほうがいいと思います。
『俺はがんばっているのに!』とか『努力したのに!』とか思うと、コンテストの結果が悪かったときにすごく落ち込むんです。『好きなことをやり込んでいる』と思えば、そこまで落ち込むこともないと思います。
我々はプロではないんです。あくまでアマチュアです。嫌ならやめればいいんです。やめても誰にも迷惑はかかりませんから」
競技で活躍したいのなら、寝る時間を惜しんでトレーニングすべし
「僕は以前、某運送会社に勤めていいましたが、あの時代のことを話せば『俺なんかたいしたことない』って、多くの人たちが思うはずです(苦笑)。
朝5時半に起床して6時に自宅を出発。そこから休憩もない状態で1日中走り回って、仕事が終わるのが夜の10時。11時くらいから深夜1時すぎまでトレーニングをやって、寝るのは2時すぎ。そして、また5時半には起床する。疲労しすぎて、トレーニング中に失禁したこともありました。ライイングレッグカールでは、インターバルに入った瞬間に寝ていました(苦笑)。
僕はこの生活を2年間、続けました。やめてから1年間くらいは眠気が取れなかったです。あのころの経験が僕の土台になっています。そこで耐えてやってきたことが今に生きています。
さすがに体調を崩してしまいましたが、やめた翌年のジャパンオープンでいきなり優勝できました。それまでがんばっていたことが一気に体に現れたんです。
若いころにキツい経験をすることは大事です。社会人1年目は精神的にもキツいことが多い。でもそこで自分を見失わず、『俺にはトレーニングがある』と思いながら続けていけば、必ずいいことがあります。
トップで活躍している選手たちは、やっぱり精神が強いです。キツい経験を積んで精神が強くなると、『今日はトレーニングのことは忘れて仕事に集中しよう』という余裕も持てるようになります」
続けてお読みください。
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執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。