筋肥大が目的の場合
筋肥大を目指してワークアウトを行うなら、セット間の休憩時間は1〜2分がいい。その理由は、休憩時間が短いほうがより多くのアナボリックホルモンの分泌を促すことになるからだ。
筋肥大のためにはテストステロンや成長ホルモンなどのアナボリックホルモンが不可欠である。そのため、完全に疲労が回復する前に次のセットを開始したほうがいいだろう。
ちなみに、インターナショナル・スポーツサイエンス・アソシエーション(国際運動科学協会)では、セットの所要時間とセット間の休憩時間の比率を1:1にするように勧めている。
つまり、1セットの所要時間が60秒なら、セット間休憩も60秒にするということである。
筋力向上が目的の場合
パワーリフターやウエイトリフティング競技を行う選手たちは、筋力やパワーを向上させる目的でワークアウトを行っている。
筋力向上やパワーアップが目的なら、セット間の休憩はしっかりと取り、3〜5分間がいいだろう。前のセットでの疲労をしっかり回復させてから次のセットを開始し、どのセットでも全力を出し切るようにする。
長めの休憩を挟むことで、枯渇したATP(アデノシン三リン酸)を十分に再合成することができるため、次のセットでも爆発的な力を発揮できるのである。
持久力向上が目的の場合
筋肉を緊張させて姿勢を安定させたり、筋持久力を向上させることが目的なら、セット間の休憩は0〜90秒に制限するのがいい。
例えばクロスフィットのアスリートなら、次から次へと異なる種目を行うことになるので、できるだけ疲労を溜めずに動作を継続する必要がある。
そのため、普段のワークアウトでもセット間の休憩は限りなくしたほうがいい。
もちろん、いきなりセット間の休憩をゼロにするのは難しいので、最初は90秒間に設定してもかまわない。ただし、運動強度を一定に保ちながら少しずつ休憩時間を短くしていき、最終的には連続して複数のセットが行えるようにしよう。
基礎③
ストレッチ
ワークアウトにおいてストレッチはどれくらい重要なのだろうか。
『ジャーナル・オブ・インジュリー・リハビリテーション』は、ケガから復帰するためのリハビリ情報誌だが、それによるとストレッチは関節の可動域を広げて競技能力を高めたり、柔軟性を向上させて再びケガを負う危険性を軽減するのに役立つとしている。
そうであるなら、トレーニーにとってストレッチはウォームアップと同じくらい有用であると考えたほうがいいのではないだろうか。『アメリカンカレッジ・オブ・スポーツメディスン』の会合でも、週2〜3回のストレッチは多くの人に役立つと発表されている。この場合のストレッチは、動作を伴わないスタティックストレッチ(筋肉を伸ばした状態でしばらく停止するストレッチ)で、ウォームアップのあとに行うことが勧められている。