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ボディビル世界王者が解説「なかなか大きくならない肩の鍛え方」理論編

なで肩タイプは効きにくい

肩は骨格の違い、日頃の姿勢によって発達の差が出やすい部位でもあります。レイズ系種目を例にとると、肩幅が広い人、いわゆる逆三角形タイプの人は、肩甲骨が挙上しにくいため、肘を上げただけで三角筋に刺激が入りやすい傾向にあります。

逆に肩幅が狭かったり、なで肩タイプの人はレイズ系の種目が効きにくいという場合が多いです。ちなみに私もこのタイプです。肩が下がり気味なので、レイズ系の種目は、僧帽筋を使い肩甲骨を拳上させないと動作ができないのです。肩甲骨を軽く上方回旋させた位置(いわゆるリラックスポーズ)がスタートとなります。ちなみに僧帽筋は三角筋の協働筋として働くので、僧帽筋を使わないようにレイズを行うのは不可能に近いです。使ってしまっていいのかと思われるかもしれませんが、あくまで主動筋は三角筋であり、協働筋として僧帽筋を使うのではあれば問題ありません。

ベンチプレスに例えると分かりやすいです。ベンチプレスでは主動筋の大胸筋ですが、上腕三頭筋、三角筋などが協働筋として働きますよね? それと同じと考えてください。

プレス系の可動域を制限する

肩のプレス系の種目でも僧帽筋は協働筋として働きますが、必要以上に僧帽筋を使わないようにするため、可動域を制限するという方法も有効です。

私はバックプレスのスタートポジションは、拳が耳元くらいにくる位置に設定します。ここより低い位置に設定すると肩甲骨が下制するため、上げる動作の際には肩甲骨が拳上し、僧帽筋が大きく働いてしまうからです。バックプレスで可動域を制限する分、三角筋前部のストレッチ感は少ないので、肩甲骨が下制しづらい肘を閉じてのフロントプレスも取り入れています。

肩に支点を置くレイズ系

レイズ系種目もプレス系種目同様、僧帽筋が協働筋として働きます。僧帽筋を関与させずにサイドヘッドのみを動かそうとすると、脇の角度が60度くらいの位置で上腕が止まってしまうはずです。そこから収縮ポイントまでの残り30度の範囲では、棘きょく上筋、僧帽筋も動くことになります。

極力、三角筋を主動筋として動作を行うには自分の体の中心軸から遠い位置で動作を行うことです。サイドレイズ、リアレイズなどで効かせるためのコツとしては「上げる」や「後ろに引く」というより「肘が体の遠い位置を通る」「肘をなるべく遠くに」といった意識で行うといいでしょう。

逆に肘が体幹の近くを通る軌道でレイズ系の動作を行うと、肩甲骨が挙上し僧帽筋で補佐しやすくなってしまいます。肩幅が狭い人は肘の軌道が体幹付近になりがちなので、注意が必要です。上げるときも下げるときも、常に体から離れた軌道を通るようにします。

また、支点と重心の位置も重要です。レイズ系では肩に支点を置くようにします。それを可能にするのがワンハンドです。広背筋・ 大円筋の回でも解説したとおり、ワンハンドで行うことで支点が肩になり、体幹ではなく肘から動かしやすくなります。

なお、右手でダンベルを持った際には、右足に重心を置くようにします。左足に重心を置くと、反動を使って上げるようなフォームになり、体幹を使ってしまうからです。ワンハンドとツーハンズとの違い、またグリップについてなどは、次に詳しく説明します。

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