かつてないスピード感で日本ボディビル界のトップに昇りつめた横川尚隆選手。成功の秘訣は、理論や定説に縛られない彼特有の思考術にあると考えられます。今回は筋肥大をテーマに、横川選手がトレーニング初心者だった頃を振り返りながら話を聞きました。
取材・文:鈴木彩乃 撮影:中原義史 大会写真:中島康介 写真提供:横川尚隆
▶トップ選手のビフォーアフター!横川尚隆「筋肥大を叶える思考術」ロングインタビュー再録①
中途半端な取り組みで身体は変わらない
──今回の特集テーマ的に、初心者の方も多く読んでいることと思います。トレーニングについても伺いたいのですが、筋肥大を求めたとき何から始めるのがいいですか?
横川 自分に合ったメニューを見つければ、身体は確実に変わります。だけど、それってトレーニングを初めてすぐに出会えるものではないですよね。何年も積み重ねてようやく出会えるものだと思うし、出会えてもチョロチョロっとやるだけではダメで、それなりの気持ちを込めて向き合って初めて結果が伴うもの。だから初心者の場合、トレーニングに関しては自分の道を探るというよりBIG3やチンニング、ショルダープレスなど基礎種目を徹底的にやるほうがいいと思います。
──横川さんは2015年当時、どのようなトレーニングから始めましたか?
横川 本当に何も知らなかったのでマシンでもフリーウエイトでも、とにかく分かる種目を全部やっていきました。だから、トータル3〜4時間かかっていたんです。スタートの時点でそれだから、月日を重ねるうちに知識がついて自分に必要な種目や重量や回数が分ってきて、トレーニング時間が2時間とか3時間に及んだとしても、それが全く苦痛に感じなかった。長時間やればいいって話じゃないけど、それが僕が短期間で大きくなった一番の秘訣なんじゃないかなって思います。
──誰にも真似できないことをしてやろうって考えたわけではなく、結果的に真似できないようなことを始めからしていたわけですね。
横川 あとから考えてみたら、はい。もしかしたら「誰にも真似できないことをしてやろう」って考えて始めていたら、続いていなかったかもしれません。
──続けなければ、どのようなトレーニングも意味がなくなります。
横川 筋トレだけではなく仕事でもなんでも、続けられなければ何も変えられませんからね。
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