“ミスターボディビルディング”と呼ばれるレジェンド・小沼敏雄選手が勤務先のゴールドジム店舗で実際に行っているトレーニングを種目ごとに解説するこの連載。最終回となる今回は、木曜日にウエスト東京(中野)で実施している「胸と上腕二頭筋」の日。同じマシンでも動作や角度を変えてターゲットを変化させる、その独特な活用法を解説!今回は2種目目、インクライン・チェストプレスだ。
取材:藤本かずまさ 撮影:舟橋 賢
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インクライン・チェストプレス<ストレッチ重視>
胸の上部の肩側の盛り上がりを作る
使用マシン
HAMMER STRENGTH チェストプレス
「インクライン」ではない、フラットのチェストプレスマシンを使用。インクラインのマシンよりもストレッチを強くかけられるため、このマシンを用いている.
やり方
意味合いとしてはベンチプレスの代替種目であるが、角度をつけて大胸筋上部を狙う「インクライン・チェストプレス」として行う。シートは低い位置に設定。小沼選手の場合だと「8」の高さ。シートにはやや浅めに座る。足で踏ん張って立ち上がりながらブリッジを効かせてハンドルを一気に押し込む。この「立ち上がりながらブリッジを効かせて」の部分がキモで、そうすることでより強い収縮感を獲得できる。座ったままの状態で行うよりも、スタート→フィニッシュのレンジを広く取れる。戻すときは、そのまま沈み込むのではなく、身体が上に伸び上がるような感覚で戻していく。
グリップについて
スタートポジションについて
この種目の狙いは大胸筋上部の肩側の盛り上がり。ストレッチをかけられるようにハンドルは広く持つ。肘は張らずに、肩を上げない。深く座ると肩が前に出てしまい、ストレッチポジションで肩が過伸展してしまう。肩を引ける体勢で浅く座ること。ダンベルプレスでしっかりとダンベルを下ろして胸をストレッチさせるときのイメージで。ダンベルでは過伸展の危険性を考慮する必要が出てくるが、マシンにはストッパーがついているため、動かせなくなるまで追い込むことが可能。
動作について
ブリッジを効かせることで力を強く発揮できる。また、下半身を連動させることでフリーウエイトと同じような感覚での動作が可能となる。ストレッチ重視の種目なので肘は伸ばし切らなくてもよい。ここでブリッジをかけないと、肩に大きな負担がかかってしまう。
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小沼敏雄(こぬま・としお)
1959年1月2日生まれ。埼玉県三郷市出身。身長175㎝体重83~90kg。78年、大学2年生でコンテストに初出場。関東学生オープンの部で優勝する。83年にはミスター東京、ミスター関東で優勝。85年、中野ヘルスクラブに入社し、コーチとして勤務。同年にミスター日本に初優勝。87年にV2を飾り、99年まで13連覇を達成。92年、アジア・プロアマクラシックで3位に。2002年には世界マスターズ選手権40歳以上80kg級優勝。03年、株式会社THINK(現・THINKフィットネス)に入社。ゴールドジムのトレーナーとなる。