多くのトレーニーが今ではPOFがどんなトレーニング法であるか、大体のところは理解しているのではないだろうか。このトレーニング法は、正しく行えば大きな効果をもたらしてくれる。「正しく行えば」という注釈を付けた理由は、多くのトレーニーがPOFをやり過ぎてしまう傾向があるからだ。では、適量がどこなのか。腹筋を割るためのPOF法を紹介しよう。
文:William Litz 翻訳:ゴンズプロダクション
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POFの特徴を理解しよう
POFの最大の特徴は、各筋肉部位に対してミッドレンジ種目、ストレッチ種目、コントラクト種目の3種目だけをセレクトし、それぞれに1、2セットの本番セットを行ってワークアウトを終了する点にある。つまり、トレーニング量は少なくてすむはずなのだ。
そんなに少なくていいのか? 本当に効果があるのか? そんな疑問を持ってしまうから、ついついトレーニング量が増えてしまう。しかし、量が増えればPOFのメリット「必要最小限の刺激で、最大限の疲労回復を得る」が活かされなくなってしまうのだ。
POFのミッドレンジ種目では、対象筋とその補助筋が協働して動作を行う。いわゆる多関節種目、コンパウンド種目、マス系種目と一般的に呼ばれているものだ。例えば胸ならベンチプレス、脚ならスクワットがこれに相当する。POFを使った各部位のワークアウトでは、1つのポジションに対して1種目を選択すればいい。場合によっては1種目で2つのポジションをカバーできることもあるので、2種目だけで対象筋をフルに刺激することもできる。
ところが、物足りなさを感じてしまい、同じポジションの種目を2つ以上組み合わせたりして、トレーニング量を増やしてしまうトレーニーも少なくないようだ。例えばフラットベンチプレス、ディップス、ダンベルベンチプレス、これらは全て胸のミッドレンジ種目だ。1回のワークアウトの中でこれらの種目が重複すれば、エネルギーと時間を無駄にしてしまうというのがPOFの考え方なのだ。
POFの理論を正しく理解して、一つの対象筋に対してミッドレンジ種目、コントラクト種目、ストレッチ種目の3種目だけでワークアウトを構成しよう。必要以上に運動量を増やさないこと。無駄に時間とエネルギーを消耗しないこと。POFを行うなら、これらの基本事項をぜひ守るようにしてほしい。
腹筋のPOFワークアウト
腹筋を効率よく刺激して筋肥大に結びつけるための方法としてPOFはとても役に立つ。腹筋でも必要なのは3種目だけだ。腹筋のコントラクト種目(最大収縮で最大負荷)、ストレッチ種目(最大ストレッチで最大負荷)、ミッドレンジ種目(最大収縮と最大ストレッチの中間地点で最大負荷)でワークアウトを構成すれば、腹筋の発達に必要な刺激をしっかり得ることができる。必要最小限の刺激で最大の効果を得るというのがPOFトレーニングなのである。
腹筋のワークアウト頻度については様々な意見がある。他の部位と同じように、週1回のワークアウトで十分だという人もいれば、腹筋はもっと頻度を増やしたほうがいいという主張もある。頻度についてはトレーニーの好みが分かれるところなので断定は避けるが、週1回で十分な発達が得られるという人は、おそらく刺激に対して敏感な反応を示す人、いわゆる素質がある人と言っていいだろう。
一般的には週2、3回行うことで十分な刺激が得られるケースが多いようなので、週1回だけ行う期間と、週2、3回行う期間を分けて実験してみるといいだろう。
POFは腹筋でも非常に効果的だ。短時間で必要最低限の刺激が得られる。体脂肪は食事を管理することで落としていこう。もちろん、カーディオ系の運動も習慣にすることで、理想の腹筋を体表面に浮かび上がらせるために役立つ。
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執筆者 William Litz
カナダのウィニペグで活動する有資格のパーソナルトレーナー。過去10年以上にわたり、フィットネス系雑誌やオンライン雑誌にトレーニング関連の記事を執筆してきた。ボディビルに精通しており、熱狂的なボディビルファンでもある。