テストステロンは筋肉を発達させるための大切な要素だ。筋肉が作られる過程はとても複雑で、数え切れないほど多くのことが関与しているのだが、少なくともテストステロンが関わっていることに異論を唱える人はいないのである。だからこそ、体内のテストステロンを高めると宣伝されているサプリメントなどが次から次へと開発され、発売され続けているのだ。テストステロンを高めることは筋発達を促すことであり、さらにはアンチエイジングにもつながることなのである。
文:William Litz 翻訳:ゴンズプロダクション
10代のテストステロン事情
10代の男性ボディビルダーのテストステロン値は信じられないほど高く、中年のアスリートと比較するとその差は歴然としている。テストステロンの分泌量に関して言うなら、どれだけトレーニングを続けてきたベテランでも若い身体には勝てないのだ。10代の身体というのはテストステロンを高いレベルにまで急上昇させるものなのである。
この時期に急激に上昇するテストステロンは、身体に様々な変化をもたらす。その変化はプラスになることが多いが、副作用のようなマイナスの要素もある。例えばニキビができやすくなったり、皮膚が油っぽくなったり、脳内は四六時中セックスのことでいっぱいになったりする。このような状況は勉学にも仕事にも支障になり、10代の若者たちはテストステロンの高値による変化に悩まされるものなのだ。しかし、もしこの時期にウエイトトレーニングに目覚めたとしたら、すさまじい勢いで筋肉の発達が見られるはずだ。
ところが、黙っていても体内で大量のテストステロンが生成されるこの時期に、テストステロンの薬物を使用する若者が増えている。そんな薬物を使わなくても、若者の身体は十分に筋発達を促すだけのテストステロンを生成しているのだ。必要なことはしっかりワークアウトを行い、適切な食事を続けることである。10代のときにしか得られない特権を存分に活用して、筋発達を楽しんでほしい。
テストステロンが高値になる時期の若者は、毎日、大量のカロリーを消費している。これもまた若いが故に得られる反応なので、できるだけ健康的な食材を使った食事を十分に食べてほしい。健康な代謝機能を持ち合わせている若者なら、高カロリー食をたくさん食べても体脂肪をそれほど増やすことなく過ごすことができるので、この時期は遠慮せずに食事を楽しむことができるはずだ。
実は、食事量を十分に増やすことは、筋量を増やしたい若者にとってとても大切なのだ。というのも、テストステロン値は高いのだが、代謝が早いため十分な量の食事を摂らないと筋量が増えないというケースが多々見られるのだ。
10代の身体というのは中高年の常識が通用しない。食べ過ぎても太らないし、無茶なトレーニングをしてもケガをしにくく、トレーニングをすればするほどテストステロンが高いおかげで筋発達が起きる。しっかり食べ、多関節種目をたくさん行って、存分に筋発達反応を起こせる時期なのである。
中高年のテストステロン事情
若者の身体とは明らかに異なる中高年の場合はどうだろうか。10代のころに比べるとテストステロン値は低下しており、食べ過ぎれば確実に体脂肪が増加する。当然、高重量を使いすぎればケガをするし、休養をしっかり確保しないと簡単にオーバートレーニングに陥ってしまう。
残念な気持ちになる? いや、実際はそうでもないのだ。確かに10代のころとは違うが、ボディビルのコンテストを見ると、見事なフィジークを作り上げている中高年の選手が大勢いるのは事実なのだ。少なくとも身体づくりに関して言えば、年齢は決してマイナスにならない。必要なことはワークアウトのオフ日を増やし、オーバートレーニングやケガに気をつけること。また、健康的な食事を心がけ、食事量を適度に制限し、良質の脂質を含む食品をメニューに取り入れることも大切だ。
これらのことはストレスを緩和し、コルチゾールを抑制し、テストステロンの生成と分泌を活性化するためにも効果的なのだ。食後は10分程度のウォーキングを行ってインスリンの分泌をコントロールしたり、消化を助ける消化剤を利用するのもいいだろう。
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William Litz
カナダのウィニペグで活動する有資格のパーソナルトレーナー。過去10年以上にわたり、フィットネス系雑誌やオンライン雑誌にトレーニング関連の記事を執筆してきた。ボディビルに精通しており、熱狂的なボディビルファンでもある。