鈴木雅選手が効果の出るトレーニング種目をこと細かに解説していく大人気の連載。今回は、特に人気の高いトレーニング部位である上腕二頭筋。「腕がなかなか太くならない」という悩みを解決すべく、わかりやすく解説します。
取材・文:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩
▶上腕二頭筋の機能
▶フォームにおける注意点
▶頻度について
▶グリップなど
上腕二頭筋の機能
その名の通り、上腕二頭筋には長頭、短頭の二つの頭があり、ともに起始部は肩甲骨にあります。停止部は橈とうこつ骨粗面にあるので、二つの関節をまたいでいる筋肉になります。
また腕には上腕筋という筋肉もあり、これは起始部は上腕骨、停止部は尺骨粗面にあります。肘関節のみをまたいでいる筋肉なので、この筋肉は肘を曲げるだけで収縮します。
人が立ち上がったときは、手のひらは体の方を向いています。これが人間にとって自然なポジションです。
そこからカール動作をすると、初動では腕橈骨筋と上腕筋を使います。とくに何も意識をせずに腕を振り上げようとすると、まずは「肘を曲げる」動作、つまり上腕筋を使う動作になるはずです。そこから腕を回外しながら動作を続けることになるのですが、そこで初めて上腕二頭筋の長頭と短頭が働きます。
短頭と長頭は、肩関節もまたいでいます。肘だけでなく、肩関節を屈曲させないと収縮しません。とくに短頭は、胸の外側に位置する烏う こう口突起に起始部があるため、脇を開けた状態では収縮しません。肩を屈曲して上げることで収縮しやすくなります。そこから小指側から回外して上げると短頭に、少し回内した位置から上げると長頭に効きやすくなります。
腕の前面の筋肉で言えば、太さを演出するのが上腕筋で、ピークをつくるのが上腕二頭筋です。ボディビルのポージングで言うと、フロント・ダブルバイセップスのピークは短頭、バック・ダブルバイセップスのピークは長頭が重要になってきます。しっかりと自分の弱点を把握して、トレーニングを進めていきましょう。