コンテストに向けてコンディションづくりをしたことがある人なら分かると思うが、ピークに近づけば近づくほど、ちょっとしたストレスや塩分摂取などの外的要因がコンディションに大きく影響し、プラスにもマイナスにもなる。自律神経もそれと同じだ。ベストな状態を求めるのであれば、自律神経系をよく理解し、それが筋肥大にどう影響するのか知っておいて損はないはずだ。交感神経の役割を解説する。
文:Sarah L. Chadwell, NASM-CPT 翻訳:ゴンズプロダクション
筋収縮を促し、心拍数を上げ、血流を活発にするのが交感神経である。一方、副交感神経は筋肉の弛緩、心拍数の抑制、血流量の抑制など交感神経とは逆の作用がある。
この2つはシーソーのように上になったり下になったりして働き続け、どちらかの作用が止まってしまうことはない。このことはワークアウト中でも、あるいはワークアウト後でも同様だ。
交感神経の優位な状態
ワークアウト中に刺激を受ける筋肉部位は、エネルギーの代謝反応を起こしながら出力し、動作を続けるのだが、この反応を円滑に進めるためには血管の調整が必要になる。それを担うのが交感神経だ。
例えばバーベルカールでは、上腕二頭筋を収縮させながらバーベルをボトムからトップまでカールさせる。筋肉を強く収縮させるには大量の酸素が必要になる。酸素がなければATPを再合成することができないからだ。
トレーニング中は、できるだけたくさんの酸素を筋肉に運びたいわけだが、そのためにはどうすればいいのか。
それは血流を増すことだ。血流を増やすために血圧が上昇するわけだが、これは交感神経の働きによるものだ。
血圧の上昇だけではない。心拍数の増加もまた、血流量を増やす手立てとなる。これも交感神経の働きによるのだ。
増加した血流量を速やかに対象筋に運ぶために血管が拡張する。運搬された血流が筋肉の中に閉じ込められれば、対象筋は確実に膨張する。これがいわゆる「パンプアップ」だ。
このパンプが起きれば、対象筋は一時的であってもサイズを増すわけだが、血流量が増加することでより多くの酸素や栄養素も筋肉に運ばれてくるので、疲労回復や筋機能の回復にも大いにプラスになる。
さて、ここで首をかしげた人もいるかもしれない。「交感神経は血管を収縮させる」はずなのに、血流が一気に筋肉に流れ込む際に「血管が拡張する」のはなぜなのか。それは、刺激している筋肉に対して副交感神経も同時に作動しているからだ。
2つの自律神経系はどちらか優位になることはあるが、休んだりすることはないのである。
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