ここ最近の「筋トレブーム」によってフィットネスクラブも増加し、24 時間営業のジムも増えてきたが、それでも都市部以外では、通える範囲にジムがあるという人のほうが少ない。家の近くにジムがあっても、仕事と営業時間が重なっていたりなど、ジムに通えないという人も多い。そして、昨年から大流行の脅威を奮う「新型コロナウイルス」により、ジムに行くのを避けざるを得ない状況の人もいるのでは? ならば自宅にトレーニングできる器具をそろえて「ホームジム」を作るのはいかがだろうか? ホームトレーニー必見の大特集、ぜひご覧ください。
取材・文:アイアンマン編集部
世界王者・鈴木雅流ホームトレーニング
◆種目は限定されますが、その中でも工夫しだいで全身を鍛えることができます
器具がここまでそろっていれば、ジムでのトレーニングと同じくらい全身をしっかり鍛えられると思います。自宅でのトレーニングとなると、床への負担や振動が気になりますが、その中でもスクワットやデッドリフトは体幹を鍛えるという意味でも欠かせない種目です。デッドリフトをやるときは、下に音が響かないように、コントロールして行うか、床に付けずに切り返すようにして行うといいと思います。
できる種目が限られていても、筋肉の付き方など、ある程度の知識があれば、フォームしだいでさまざまな効果を出すことができます。解剖学とまでいかなくても、今は筋肉のつき方について分かりやすい本も出ていますので、それも参考になります。
たとえばスクワットでしたら、足幅と頭の角度(目線)の調整で効かせる場所を変えられます。大腿上部なら足幅を腰幅にして上半身を立てて行う、いわゆる基本的なフォームで十分効きますし、ハムストリングスに効かせたい場合は足幅は腰幅のままで目線を少し上にします。そこからさらに足幅を広げると殿筋に効いてきます。ハムストリングスの収縮系の種目については、レッグカールマシンがない場合はヒップリフトを代わりに行います。バーベルを腹側に置いてのヒップリフトは見た目以上に強度も高い種目ですので、ぜひ試してほしいです。
重量も限られてくると思いますので、筋肉への負荷を強めるためにスクワットはボトムで止める、またはゆっくり下ろすなど、コントロールして効かせるのがいいと思います。その際、できるだけ主導筋である脚に効かせるため、あえて腹圧をかけずに、上半身の力をできるだけ抜くという方法もあります。
その他、収縮ポジションで効かせる種目では、一回一回静止させて負荷をかけるというテクニックも有効です。サイドレイズひとつにしても肩関節の外旋、内旋で効く場所が変わりますので、普通のサイドレイズをやった後に、インクラインベンチも使ってワンハンドで追い込むこともできます。追加で器具を加えるとしたら、レッグカール、ラットプルダウンくらいではないでしょうか。いずれにしてもホームジムであれば、種目は限定されますが、その中でも工夫しだいで全身を鍛えることができます。ホームトレーニーは1人でトレーニングすることがほとんどだと思いますが、目標の選手の写真を部屋に貼ったりしてモチベーションを上げるのも大切です。「こうなりたい!」という強い意志が体を変えていくと思います。