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【ドーピング違反者ゼロを目指して】スポーツ、トレーニングのフェアプレイを守るために

近年、国内ドーピング検査の規則違反がボディビル選手から数件出ているという事態を受け、東京都ボディビル・フィットネス連盟では出場選手にドーピング防止講習会の受講を義務化している。今回は、東京・赤羽会館で行われたドーピング防止講習会のレポートをお届けする。(アイアンマン2016年6月号「ドーピング違反者ゼロを目指して」から修正引用)

取材・写真:藤本かずまさ

ドーピング違反者ゼロを目指して

その単語と意味を知ってはいても、「ドーピング」なるものを身近な問題としてとらえている人はそれほど多くはないであろう。ボディビルやフィジークの選手でも「筋肉増強剤なんて使ってないから大丈夫」「自分はチェックの対象にはならない」という感覚の選手が多いかもしれない。
昨年、JADA(公益財団法人日本アンチドーピング機構)が実施した国内ドーピング検査の規則違反件数は8件。その半数の4件がボディビルの選手という結果となってしまった。
この事態を受け、東京連盟では平成28年度主催大会(東京オープン、東京クラス別、東京選手権)に出場する選手に対し、ドーピング防止講習会の受講を義務化。また選手登録申請書、出場申込書には「指導者・コーチ名」を記入する欄が設けられ、クリーンな環境でトレーニングを行っていることを証明できる第三者の署名、捺印が必要になった。
「これまで個人がネットで情報のやりとりをして、そこで禁止薬物を使ってしまったといった例も見受けられました。今日は選手の人たちの『自分たちがそうならないように』という気持ちが感じられました。講習会を繰り返して開催して、情報を発信していくことが抑止力になればと思っています」 そう語るのはJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)アンチドーピングコントロール委員会・事務局長の青田正順氏。東京オープンボディビル選手権の1カ月前となった4月3日(日)、東京・赤羽にてJBBF主催、東京ボディビル・フィットネス連盟主幹による本年度最初のドーピング防止講習会が行われた。


青田氏が講師を務めたこの講習会には200名以上もの選手が参加。違反の実情や罰則規定、サプリメントや医薬品の取り扱いなどが説明された。選手にとってもっとも注意が必要なのが、意図せずに禁止物質を摂取してしまった“うっかりドーピング”。故意であろうがなかろうが、検査で陽性反応が出た場合は制裁の対象となる。
違反者へのペナルティーは4年間の資格停止の他に、選手に対して40万円、所属クラブに5万円、所属地方連盟に1万円の罰則金が課せられる。意図的なドーピングではないと認められた場合でも、2年間の資格停止処分となる。
ドーピングは個人の問題だけではなく、所属ジムや所属連盟を含め、競技全体を巻き込んでしまうため、「ちょっとしたミス」では済まされない話なのである。
実例として、昨年度に禁止物質の「オキシドフリン」(興奮薬)が検出され、違反となった選手がいる。これは輸入代行・販売ウェブサイトで購入した海外製のプレワークアウトサプリメントに含まれていたものであるが、購入するにあたって選手がネット上で調査したものの禁止物質の存在は確認できなかったという。
だが、その商品のラベルには英語で警告文が記載されており、摂取したのはあくまで自己責任とされた。コンテストに出場するならば、海外製のプレワークアウト系、テストブースター系のサプリの扱いには慎重になったほうが賢明だろう。
また季節柄、鼻炎薬を服用している方も多いはず。果たして自分が飲んでいる医薬品は大丈夫なのか気になる場合に活用したいのが「Global DRO」というサイト。自分が使用している医薬品に禁止物質が含まれているか否かを、商品名を入力することで調べることができるので、ぜひ役立てていただきたい。
またスポーツファーマシストのいる薬局を利用するというのも有効な手段のひとつだ。大会に向けて何カ月もかけて調整し、つらい減量にも耐えてきたのに“うっかりドーピング”で失格になってしまうのは本当にもったいない。
ドーピングに関しては「気をつけすぎるくらい」でちょうどいいのかもしれない。


執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。

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