居住地による違い
日光浴をするだけでビタミンDが体内で生成されることは周知のとおりだが、居住地によっては屋外に出ても日照時間が短かったり、晴れの日が少なかったりすると十分な量の光を浴びることができず、ビタミンDの体内レベルは低下してしまう。
アメリカの場合、居住地がアラスカであろうとフロリダであろうと、総合的に見てビタミンDレベルの低い人が多いことが分かっているため、やはり食事からのビタミンD摂取はとても重要になる。定期的に日光浴をしているからと安心するのは禁物だ。また、紫外線による皮膚への影響を懸念して日光浴を避けている人は、当然ビタミンDが不足しがちになるので、やはり食事からの摂取を心がけることが大切になってくる。屋外に出る機会は多くても日焼け防止対策をしたり、日焼け止めを塗るという人も、やはりビタミンDの体内での生成量は少なくなる。繰り返すが、屋外に出る機会が多いからビタミンD対策は十分だということではないのだ。
ビタミンDの摂取量
体内のビタミンDレベルを低下させないためには、サプリメントを利用するのも1つの手段だが、具体的にどれくらいの量のビタミンDが体内にあれば理想的なのだろうか。実はこれについてはさまざまな意見があり、1日13マイクログラムもあれば十分であるという意見もあれば、125マイクログラム以上を目標にするのがいいと主張する人もいる。一般的には体重1㎏あたり約2マイクログラムを毎日摂取することが推奨されるので目安にしよう。不足してしまうよりは過剰なほうがいいと思いがちだが、ビタミンDに関しては間違いだ。なぜなら、体内のビタミンDレベルが過剰になると、高カルシウム血症が引き起こされる危険性が高まるからだ。高カルシウム血症とは血中のカルシウム濃度が高くなる状態のことで、疲労感、脱力感、集中力の低下などの症状がもたらされる。
適量に摂取することを前提にビタミンDのサプリメントを利用するなら、選択すべきはビタミンD3であり、ビタミンD2には手を出さないようにしよう。D3は限りなく天然に近く、体内でつくり出されるビタミンDとほぼ同じ構造を持っている。また、ビタミンDのサプリメントを摂取するなら食事と一緒に摂るようにしよう。そうすることでビタミンDの体内吸収率は50%もアップすることが分かっている。体内のビタミンDを安定した状態で欠乏させないようにするには、日光浴を行うだけでなく、ビタミンDを多く含む食材を積極的に食べたり、サプリメントを利用してビタミンDを体内に取り込む必要がある。ビタミンDには健康を守るためのさまざまな要素があるだけでなく、減量を促すなどして体づくりにも大いに影響する栄養素であることを覚えておこう。