筋肉を鍛えたいと考え、真っ先に思い浮かぶ部位は大胸筋や腕であろう。それは、人と会ったときにすごく印象に残るし、夏に太く逞しい腕と分厚い大胸筋がパンパンに張っていたら、それはカッコイイことだろう。しかし、大きな逆三角形を作る背中の筋肉には目を背けがちなトレーニング初心者や、中級者はいるのでは? 今回は、学生時代から“羽ばたく背中”を持ち、大きな上腕と誰よりも広がった背中で日本のボディビル界を席巻した“伝説”須江正尋選手の、圧倒的な背中を作るトレーニングの秘密に、“ミライモンスター”として、日本ボディビル界の若きエース・相澤隼人選手が迫る! 皆さんも、ここで紹介するトレーニング法を参考にして、デカい背中を作ろう!
取材・文:月刊ボディビルディング編集部 写真:中島康介、月刊ボディビルディング編集部
デカい背中はこうして作られる⑦ マシン・ロウイング
狙う部位:広背筋中部・下部
上から引く種目を5種目行った後は、再びロウイングのマシンに移る。ここでは第1種目のロウイングとは違い、股関節の動きを入れながら引くことができる。スタートする前に臀部を後ろ側に引き、身体を前方にずらしながら広背筋に一番力の入りやすい位置にきたところがスタートポジションになり、そこを軸に動作を行う。この種目も肘と体幹の距離が非常にカギになってくる。目線は上げず、胸椎に対して垂直方向に目線を送り、腰椎を安定させた状態で肘を体幹に近づけていく。ロウイング動作のため、非常に広背筋下部付近の刺激を感じることができた。
デカい背中はこうして作られる⑧ チンニング(ワンハンドバー)
狙う部位:広背筋上部・中部
最後の種目ではチンニングを2パターン行った。1パターン目は、ラットプルダウンで使ったワンハンドバーを使用したチンニングである。この種目は、今までの種目の中でも一番手の幅が広く、肩関節の内外転の動作の為、広背筋上部から中部を狙うのに適していると考えられる。
鍛錬のロウイング同様、スタートポジションを作った状態から動作を始める。身体を軽く伸展させた状態を作り、体勢を保ったまま動作を行う。チンニングはラットプルダウンなどと違い、収縮ポジションでも負荷が抜けづらいため感覚も掴みやすかった。
デカい背中はこうして作られる⑨ チンニング(EZバーアンダーグリップ)
狙う部位:広背筋中部・下部
チンニングの2パターン目は、EZバーを使用したチンニングである。この種目は、手幅が狭い状態でのアンダーグリップで行うため、広背筋の下部付近をメインとして鍛えることができる。今まで同様、身体を伸展させたスタートポジションとなり、その体勢を保ちながら動作を行う。
こちらの種目では意識的に身体を引き上げるのではなく、頭方向へと身体をスライドさせるようにと指示を頂き行った。「引く」という意識の動作だと、どうしても腕の関与が強くなるが、身体を伸展させた状態で身体を「スライド」するという動作にしてみると、非常に感覚が掴みやすくなった。
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須江正尋(すえ・まさひろ)1967年2月27日生まれ、埼玉県出身。身長161cm体重70㎏(オン)77kg(オフ)
学生選手権で2連覇を果たしてから現在まで、その象徴的な背中で“伝説”とまで称される日本屈指のボディビルダー。
主な戦績:
1988・1989年 全日本学生ボディビル選手権優勝
1993年 選抜70㎏級優勝
2006年 日本クラス別選手権75㎏級優勝
2008・2009年 日本選手権2位
相澤隼人(あいざわ・はやと)1999年10月21日生まれ、神奈川県相模原市出身。身長164㎝、体重75㎏(オン)85㎏(オフ)
トレーニングを先にしていた双子の兄の影響から12歳でトレーニングをはじめ、非常に向上心があり、勉強熱心な性格と成長期が重なったこともあり、すさまじいスピードで成長が進行している若手No.1選手。若手と言いながらも、ボディビル歴8年というから驚きだ。2021年日本選手権優勝の快挙達成。
主な戦績:
2015~2017年 全国高校生選手権優勝
2017年 日本ジュニア選手権優勝 世界ジュニア選手権75㎏級5位
2018年 全日本学生選手権優勝
2019年 東京選手権優勝 日本クラス別選手権70㎏級4位 全日本学生選手権優勝 日本選手権9位