体が発する声を聞く
空腹感は特定の栄養素が足りていない場合にも感じられる。
それは体が示す合図であり、できるだけ見逃したくない。量的には十分な食事をしていても、その内容がアンバランスだと、特定の栄養素が不足し、それが原因で空腹感がもたらされる。常に空腹感があるという人は特に注意が必要だ。
例えば炭水化物と脂質がメインの食事をしている人は、野菜や果物から得られるはずの栄養素が足りていない場合もある。
そういったケースでは、食事そのものを見直すことで問題は解決することが多い。量より質に重点を置いた食事をすることが大切なのだ。
どの栄養素もバランスよく含まれた食事をしている限り、量はそれほど多くなくても空腹感に悩まされることはなくなるはずだ。栄養素が足りているから健康であり、感情がもたらす飢餓感がないから甘いものを食べたくなる衝動も起きにくい。
つまり、空腹感に悩まされないようにするには質の高い食事をすることが基本なのだ。
質の高い食事とは、三大栄養素は もちろん、微量栄養素もきちんと含まれている食事のことだ。
脂質は摂らないという偏った食事をしていると、これもまた栄養のバラ ンスを崩すことになるので、減量中の人は特に注意が必要だ。
ちなみに、脂質は満腹感を強め てくれるので、結果的に脂質を一切食べないプランより、適量を食 べるほうが無駄に食事量を増やさ ずに済み、減量には役立つ。
例えばアボカド、オリーブ油などは大 いに食べるべきである。このような良質の脂質が食事で不足していると感じるなら、食間のスナック代わりに食べてもいいのである。
頭痛がしたり、頭がすっきりしないというような場合も、やはり何らかの栄養が不足しているという体からの声かもしれない。
タンパク質が足りていなければ疲労感 がいつまでも抜けず、エネルギーレベルが低いときは炭水化物が不足していると考えることができる。
どの栄養素もバランスよく摂取していれば感情による空腹感に悩まされる心配はなくなるので、常に空腹と戦っているという人は、普段の食事を見直したほうがいいだろう。
私の場合は鉄分が不足すると軽い頭痛が起きるようだ。
意識して鉄分を多く含む赤身肉を食べると その症状は緩和される。
また、微量栄養素が不足しているときも、健康なときとは違う症状が現れる ので、そのようなときは緑葉野菜を意識して食べたり、ホウレンソウやケールを材料にしたスムージーを飲むようにしている。
私たちの体は精密な機のよう なものだ。少しでも何かが不足すれば異常を示す。その異常を感知してすぐに食事で調整すれば、私たちはすぐに健康な状態を取り戻すことができるのだ。体が発する声に耳を傾けよう。
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