要因編では空腹になる要因について紹介した。この記事では具体的な対処法を示していく。
無性に食べたくなったらどうする?
さまざまなことが原因で本来の機能が働いていないため、感情からくる空腹が突然襲ってくる。そして、その瞬間が来たときにどれだけ反省してももう遅い。今はとにかく、このどうしようもない食欲を抑えなければならないのだ。 しかし、我慢できるならそれで いいが、食べずにはいられないからみんな悩んでいる。だとすれば、 感情からくる空腹を満たすために、 食べたいものを食べればいいのだ。 ただし、それは本物の空腹ではないので、味覚を満たす程度の量で抑えなければならない。例えばドーナツが無性に食べたくなったのなら、半分だけ食べる。それでも落ち着かないなら、 4分3のだけ食べる。全てを食べてしまわず、 少し残す。残りは次回に取ってお けばいい。 感情からくる空腹は、ほんの一 口食べただけで収まることが多い。 実際は空腹ではないので、一口味わっただけで満足感が得られたりするのだ。もったいないと思わず、その場をしのぐ目的で一口だけ食 べる。残りはまた渇望感に襲われたときのために取っておけば無駄 にはならないはずである。 私も渇望感に襲われることはあるが、そういうときは一口食べればやりすごせるので、事前に小さなチョコレートを用意して棚にしまっておくようにしている。私の場合は1本100キロカロリーの一口サイズのチョコレートバー だ。塩気のあるナッツでも小さな 容器に入れておいて、残りは封をして保管しておく。そして、渇望感が湧いてきてどうしようもないときには、小さな容器からナッツを数個だけ口に入れて残りは保管するのだ。 食べたくなるものを袋ごと保管しておくから欲求に負けて止まら なくなってしまう。購入したものを全て食べ切ってしまうのではなく、一口分だけを用意しておけば 欲求に任せて全部食べてしまうことは避けられるはずだ。
血糖値の低下も空腹の原因
1日の食事量が決まっているとしよう。これを少量ずつに小分けして、 1回の食事で食べ切る場合と、 1回の食事で食べ切る場合を比較してみる。 1日の総カロリー量は決まっているので、タンパク質、炭水化物、脂質のそれぞれの量はどちらも変わらないし、摂取カロリー量も同じだ。このようなケースではこれまで高回数の食事 のほうが減量期には有効だと言われていた。その理由は、少量の食事を高回数食べることで、食べ物 を胃腸で分解する際に体温が高まり、それが持続するという理屈か らだ。体温が上がる時間が長ければ代謝も促されるというわけだ。 ところが、研究によると、体の代謝に関して言うなら、どちらの食事法も変わりはないことが分 かった。小分けにして高回数の食事をしても、一度にたくさんを食 べても、総カロリー量が同じなら1日に産生される熱は同等であり、代謝率も同じであるというのだ。 ただ、血糖値は食事法によって 大きな差が出る。少量×高回数の食事と、通常量×1回の食事を比 較すると、前者のほうが1日を通 して安定した血糖値を維持することができ、後者の食事より血糖値の変動が少ないことが分かったの だ。そして、実はこれが渇望感に 影響するのだ。血糖値が安定して いれば、空腹感は起きにくい。そのため、減量中はやはり少量×高回数の食事のほうが適していると言える。 特にその食事が高タンパク質であれば、食欲の抑制はますますしやすくなる。脂質もあっていい。なぜなら、タンパク質や脂質には炭水化物による血糖値の乱高下を緩める働きがあるからだ。
日を通して血糖値を安定させ ておけば、体調管理だけでなく食 欲管理もしやすいということを覚 えておいてほしい。特に、夜間に なると猛烈に渇望感が強くなって しまうという人は、できるだけ少 ない食事を高回数にして食べるよ うにしてみよう。 また、昼間はともかく、夕方以 降はできるだけ炭水化物の摂取量 を減らし、代わりにタンパク質と 脂質量を増やし、血糖値が夜に なってから急激に上昇したり下降 したりする状況をつくらないよう にすることも大切だ。 私の場合、渇望感が湧くとチョ コレートを無性に食べたくなる。 それはもしかすると血糖値が低く なっていることが原因かもしれな い。ある人からの助言で、チョコ レートへの渇望感が強くなってきたらまずは果物を食べてみること を勧められた。果物には果糖が含 まれていて、これが血糖値を高め る。これで落ち着けば、渇望感の 原因は血糖値の低下によるものだ と判断することができるわけだ。 もし果物を食べても収まらない場 合は、前述した「ちょっと一口」作 戦で乗り切るといい。ほんの一口 食べただけで、感情から生まれる 空腹感は収まるものである。