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”脚の太さをかせげる部位”を強化!トップボディビルダー須山翔太郎の2年間の強化ポイントとは?

2019年日本選手権では2位と、17年に続いて王手をかけた須山翔太郎選手。昇るべき階段はあと一つ。昨年をアクティブレストに充て、充電を完了した須山選手に現在のトレーニング、ボディビルとの向き合い方を聞いた。(IRONMAN2021年9月号より)

取材・文:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩 

須山翔太郎選手のトレーニング写真

――須山選手の誕生日は日本選手権直前の9月26日です。昨年は数年ぶりに誕生日会を開いたそうですね。――昨年は大会自体が中止となりました。1試合も出場しなかったのは2009年以来だそうですね。
須山 ケガや病気をしない限り欠場するということがないので、健康な状態でこれだけ休めたというのは今回が初めてです。また日本選手権に10年近く出場し続けて、少しブレイクがほしいところでもありました。そういったことも含めて、(身体を休める)時間を取ることができて、良かったと思います。

須山 そうなんです。友人たちに開催してもらいました。誕生日にケーキを食べるのは10年ぶりくらいでした。すごく楽しかったです。

ー―これまでは胃腸の調子が悪く「食事をあまり食べられない」とよくおっしゃっていました。昨年はその悩みの種だった胃腸を検査されたとか。
須山 大会がなくなったことで気持ちの余裕ができて、検査を受けました。結果はポリープが一つに表層性胃炎に逆流性食道炎と胃腸炎でした。ポリープは悪性ではなかったので、大事には至らなかったです。そこから炭酸水をがぶ飲みするのをやめました。自宅に炭酸水メーカーがあるんですが、強炭酸の炭酸水を作って毎日飲んでいたんです。それをやめたら、かなり調子が良くなりました。同時に、食事の内容も見直しました。より胃腸に負担のかからないようなものを食べるようになりました。

――例えば、どのようなものを?
須山 白米をもち米に変えました。これは本当に消化が楽です。タンパク源は最近は生魚にしています。カツオが多いですね。火が通っているものばかりを食べると健康に良くないかもと思い、刺身を食べるようになりました。

――炭水化物は1日の量としてはどのくらい摂っているのですか?
須山 減量初期は(炊いた状態で) 1日600g くらいです。その他にもお餅を食べたり、クラスターデキストリンを摂ったりしています。今はウィークデーがローカーボ、週末の2日間がハイカーボと、波をつけています。

――ローカーボ時の摂取量は?
須山 クラスターデキストリンなどを含め、糖質の量として1日に150 ~ 200g 程です。

――ハイカーボの日はデパ地下などに行ってクリーンな炭水化物を選んで買ってよく食べていたと。
須山 息抜きを兼ねて以前はそうしていたんですが、それをやってしまうと(胃腸を壊して)食べられなくなってしまうんです。だからなるべく今年はやらないようにしています。結局、試合前の最後の1週間のカーボローディングではデパ地下で買ったものは食べませんから。だから今年はもち米とお餅だけにしています。そうしないと必要量を食べられないので。

――トレーニングに関してはいかがですか。
須山 オフはいつも調子がいいですよ。より良くなるために、常に新しいものを探しています。

――ブログを拝見すると、ワイドスタンスのスクワットを取り入れるようになったと。
須山 ワイドスタンスのスクワットは最近もよくやっています。これは大腿四頭筋というよりも殿部のための種目として行っています。また、内転筋にも力を入れています。内転筋は脚の太さをかせげる部位で、かなり改善できたと思います。ただ、こういった種目に関する話で難しいのは、現在はどういった種目をやるかはそのときの気分によるところも大きいんです。雑誌が発売されるころには、もうやっていない可能性もありますから。

――そうした種目は、どのようなタイミングでやらなくなるのでしょうか?
須山 パンプする感覚であったり、効いている感覚がなくなったりしたら、そこでやめますね。中には、2、3回やっただけでやめてしまう場合もあります。

――トレーニングのメモは?
須山 以前は取っていましたが、今はもう取ってないです。メインセットの重量とレップ数くらいはだいたい覚えていますから。ヘビーウエイトを扱う種目は決まっています。その種目の重量とレップ数を覚えておけば、そこまでの問題はないと思います。

――トレーニングに飽きないようにすることを最優先にしている?
須山 もう25年もやっていますからね。メニューを綿密に考えて、それを継続していくというよりも、トレーニングを楽しくやりたいです。これは性格にもよると思いますが、そうしないと続けられないです。僕はこれまでに「もう辞めたい」と思ったこともたくさんありました。エンジョイするほうが大切だと思っています。

――今はまだ辞めるきっかけがない? 燃え尽きていない?
須山 それが(現役を続けている理由の)一つではありますよね。まだ獲っていないものが一つ、ありますから。

――その「獲っていない一つ」である日本選手権優勝に向けての、現在のコンディションはいかがでしょうか。
須山 減量中はいつも「大丈夫かな」「こんな身体で出られるのかな」といつも不安に感じています。ただ、腸が元気だと精神的にもいいですよね。腸が元気で、良いトレーニングができて、それによって精神も良い状態にあります。

――減量計画としては?
須山 7月から減量に入り、79㎏から月1㎏ペースで77㎏まで落として最後の1ヵ月はキープする予定だったんですが、思いのほか減量が速く進んで、現時点で77㎏を切っています。だからここからさらに下げて、最後に食べ込んでまた77㎏まで戻すイメージでやっています。

――今年は胃腸の調子が良い部分、楽しみな部分があるのではないでしょうか。
須山 そうですね。例年、食べ込むのは試合の3、4日ほど前からなんですが、今年は1週間前に減量を完全に終わらせて、そこから食べ込んでいこうと思っています。1日に食べる量を何度か実験で食べてみたんですが、白米だったら食べられなかった量が、もち米だと結構食べられるんです。

――そんなに違うものなんですね。
須山 全然違いますね。もっと早く取り入れておけばよかったです。本当は、オフの間に最低でも82㎏までは持っていきたいんです。来年ももしボディビルを続けていたら、もっとたくさんのもち米を食べようと思います。パワーを戻すために無理して食べて、胃腸を壊して体調を悪くして……ということを繰り返していたんですが、今の食事だったらもっと体重を増やせるんじゃないかと思っています。

――これで選手寿命が延びました。
須山 そう言えるかもしれません(苦笑)。また、最後の一つを獲ったら獲ったで、そこで辞めてしまうわけにもいきませんから。

▶須山翔太郎選手のトレーニング写真

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