数多くのドラマが見られた昨年の日本選手権。選手たちはどのような思いで、あの日のあのステージに上がったのか。ここでは男子ボディビル、女子フィジークの各2位から12位までの選手を単独取材。感動の舞台裏に迫る。
取材:藤本かずまさ 撮影:中島康介
2021年男子日本ボディビル選手権大会7位・髙梨圭祐「最後のカーボ量を減らしたのがうまくいかず悔しい」
昨年の大会シーズンに臨むにあたって、もっとも気をつけていたのはウエスト周りです。2019年の日本クラス別選手権と日本選手権も、最後のカーボアップをやりすぎて、ウエスト周りが太く見えていたという反省点がありました。
昨年の初戦の日本クラス別では100%の仕上がりではなかったのですが、大会の前日と前々日に白米を5合ずつ食べるという例年通りのやり方でカーボアップしてみました。そしてあとから試合の映像や写真で確認してみたら、ポーズによってはまだウエストが太く見えるところがありました。そこから日本選手権に向けて1㎏ほど絞り、試合の前日と前々日に食べる白米の量を3合ずつにしてみました。
すると、自分では気がつかなかったんですが、あとで見返すと予選のときは身体が全く張っていませんでした。
私は試合当日は朝から2リットルのミネラルウォーターにアミノ酸のパウダーを多めに溶かしたものを少しずつ飲むようにしているんです。決勝の前までには結構な量を飲んでいたのですが、そのためか決勝ではかなり身体が張っていました。
こうしたコンディションの差が予選と決勝とで生じてしまい、本来の自分の持ち味を発揮しきれないまま終わってしまいました。減量もトレーニングもポージング練習もしっかり出来ていて、今回は調子よく日本選手権に臨めたのですが、実験的にカーボアップの量を減らしたことがうまくいきませんでした。また、試合後には石井直方先生からアドバイスをいただきました。まず筋肉の面では大胸筋上部から肩にかけてのラインがもう一段階発達すれば印象がガラリと変わると。
そして、ポージングの面ではフロントリラックスからダブルバイにいくとき、私はフロントリラックスに力が入りすぎていると指摘されました。
フロントのダブルバイが「10」だとしたら、フロントリラックスは「5」とか「6」くらいの力み具合でいい。そこから一気に「10」にいくことでメリハリがつく。そのメリハリが私にはなかったんです。これは今後の新たな課題になりました。