ジムエリアに所狭しと並べられているトレーニングマシン。トレーニーならば初めて行ったジムで初めて見るマシンと出会った際にはわくわくするもので、それはまるで大人の遊園地のよう。しかし、マシンの特性を理解し、正確に使いこなしている人はどれほどいるだろうか。「どのように使えばいいのかよく分からない」「使ってみたけど負荷が抜ける感じがする」「軌道が体のサイズに合わない」などなど、ここではマシンに関する疑問の数々を鈴木選手が解決。トレーニングマシンの使いこなし術を解説していく。今回はマシンそのものの総論と胸のトレーニングにおける活用法についてだ。
取材:藤本かずまさ 撮影:北岡一浩
◆第7回 大胸筋を鍛えるマシンのポイントを抑える◆
ノーチラスのチェストプレスについて
写真はノーチラスEVOシリーズのチェストプレス。ハンマーストレングス同様、シートにはまたがらずに太ももを載せて座る。グリップはサムアップグリップで、ハンドルは強く握りこまない。注意したいのはシートの柔らかさ。お尻が沈んでしまうが、骨盤はしっかりと立てること。お尻が沈んで骨盤が後傾すると肩が内旋し、胸に刺激が入りづらくなる。
PRIME(STRIVE)のチェストプレスについて
グリップやシート位置などはハンマーストレングス、ノーチラスと同様。PRIMEのチェストプレスはシートの幅が狭いためまたいで座ることになるが、大股にはならない。PRIMEは前腕の軌道と背もたれとの角度が垂直になっており、そのため鏡を見ながら行うと肩が前に出やすい。鏡はあまり意識しないように。
角度に注意!スミスマシンを正しく使って胸の上部を狙う
手幅が固定されているため、スミスマシンでのインクラインプレスでは挙げたときに内側に絞り込めない。解剖学上、手幅を広くしたままの状態で腕を上げていくと肩に刺激が入りやすくなる。そのため、スミスマシンでのインクラインプレスでは背もたれの角度は低めに。目安としてはアジャスタブルベンチだと1~2段分。
ケーブルクロスオーバーの落とし穴
初動から終動まで負荷が抜けないと思われがちなケーブルクロスオーバーであるが、回転抵抗ではないため、終動では肘を伸ばさないと負荷が抜けてしまう。ペックフライのように肘を曲げたまま絞るのではなく、最後は肘を伸ばして胸を収縮させる。
フリーモーションのLIVE AXISはすぐれもの!
通常のケーブルマシンよりも滑車が多く組み合わされているフリーモーションのマシンは慣性が抑えられた作りになっている。また、滑車が動く「LIVE AXIS」シリーズは動作に合わせて支点が移動し、初動から終動まで適切な負荷を対象筋に与えられる。
鈴木 雅(すずき・まさし)
1980年12月4日生まれ。福島県出身。身長167cm、体重80kg ~83kg。株式会社THINKフィットネス勤務。ゴールドジム事業部、トレーニング研究所所長。2004年にボディビルコンテストに初出場。翌2005年、デビュー2年目にして東京選手権大会で優勝。2010年からJBBF日本選手権で優勝を重ね、2018年に9連覇を達成。2016年にはアーノルドクラシック・アマチュア選手権80㎏級、世界選手権80㎏級と2つの世界大会でも優勝を果たした。DMM オンラインサロン“ 鈴木雅塾”は好評を博している。
執筆者:藤本かずまさ
IRONMAN等を中心にトレーニング系メディア、書籍で執筆・編集活動を展開中。好きな言葉は「血中アミノ酸濃度」「同化作用」。株式会社プッシュアップ代表。